先日ご紹介した、私の担当しているクライアントでの匿名電話のお話です。
「お宅の工場で私の知り合いがセクハラを受けて困っているから、早く止めさせろ」
この匿名電話に対して、私とクライアントの総務部長は事実確認をしましたが、結局、
その事実は確認されず、イタズラ電話かと思い、また、匿名電話であったため電話の
相手へ回答することもできず、しばらく様子を見ていました。
すると、数週間後、また会社へ匿名の電話がかかってきたと、総務部長から連絡があ
りました。
「まだ、セクハラが続いている。お宅の会社は一体どうなっているんだ」
「このまま続くようであれば、労基署へ訴える」
総務部長は、電話の相手に対して、セクハラの内容や被害を受けている社員の名前、
被害の内容、そして、匿名電話の相手が誰であるのか確認しようとしました
「お宅の工場の△△課の××が○○に対して…(以下、セクハラの内容)」
と、被害者と加害者の名前とセクハラの内容を話してくれたものの、肝心の自分の素
性については語りませんでした。
総務部長は、
「あなたが誰であるのか、お話してくれないと、きちんとした調査もできなければ、
報告もしてあげられませんので、教えていただけますか」
再度名前を聞こうとすると、相手は一方的に電話を切ってしまいました。
総務部長に匿名電話の相談を受けた私は、電話の内容について事実確認をしました。
加害者と被害者とされる、××と○○は実在していて、△△という所属部署も正しく、
そして、加害者とされる××は課長をしていて、過去に社内でセクハラの訴えを起こ
されたことのある人物でもあり、イタズラにしては内容が正確で、かつ、再犯の可能
性もあったため、再調査してみることにしました。
また、セクハラの内容もシフトを組める立場を利用して、必ず同じシフトに入り、残
業で作業を手伝わせ、二人きりの状況を作り、過去の交際や性的な経験などについて
執拗に聞いてくる、食事にも執拗に誘うという、これが事実であるならば、再犯である
ことも考慮すると、厳重な処罰も視野にいれなければならない内容でした。
今回は当事者がはっきりしたので、まずは被害者に極秘に確認してみることにしました。
しかし、匿名電話であることに変わりはなかったので、慎重な確認が求められました。
当然ながら、被害者を呼び出すにあたっても、「社会保険の手続きの件で」などという、
架空の要件で呼び出すことにしました。
実際に事実確認をしてみると、被害者とされる本人は驚いた表情で、
「そのような事実はありません」
加害者にバレることを恐れているかもしれなかったので、念押しで確認してみましたが、
「本当にそのようなことはありません」
ということでした。
総務部長の話からすると、被害者とされる彼女がウソをついているとも思えないという
ことで、やはり会社に対するイタズラかという結論になり、再度、このような電話が
あった場合には、営業妨害として警察に相談するということで、イタズラ電話に対して
牽制をかけていくということになりました。
クライアントにセクハラの事実が散見されなかったことで一安心したのも束の間、展開
は予期せぬ方向へ向かっていくのでありました。
つづく
ミラバケッソ・ワタナベ
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