厚生労働省は、長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、
11月を「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、使用者団体・労働組合への協力要請、
リーフレットの配布による周知啓発などの取り組みを集中的に実施します。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001rzhf.html
先月の厚労省の報道発表によると、平成22年3月から平成23年4月までの1年間に、
残業代の未払いについて是正指導した事案についてとりまとめを行い、
監督指導によって支払われた割増賃金の合計額は、約123億円と発表しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001rv80.html
労働時間の適正な管理ができていないと、思わぬところで未払いの残業が発生することがあります。
ご相談を受けるケースで、労働時間の管理について、
・裁量労働時間制
・固定残業代
・変形労働時間制
などでは、誤解をされているケースが多々あります。
私が関与した会社の例をひとつご紹介させていただきます。
その会社では、裁量労働時間制を導入していました。
その協定書を拝見すると、「1日の労働時間を7時間30分とする」と記載がありました。
この時間は、その会社の所定労働時間ですが、実際にタイムカードを見ると、
従業員の皆さんは、1日10時間から14時間勤務していることが見てとれました。
業務の内容を聞くと、裁量的に働いている要素は、ごくごく限定的なようでした。
この会社では裁量労働時間制をとり、
「所定労働時間働いたものとする」建前から残業代の支払はしておりませんでした。
また、タイムカードはあるけど、特に従業員の労働時間について把握をしておらず、
従業員の中には、メンタルヘルス疾患の兆候が見てとれる方もいるようでした。
そこで、
・協定の時間と実際の勤務時間に大きく差がある点、
・裁量労働の余地がほとんどない点
・従業員の過労の問題点
から、労働時間管理のあり方を見直すことになりました。
まずは、協定の時間を見直すと同時に、
その分延長したみなし時間について固定残業代を導入しました。
また、タイムカードでの時間管理を行い、月60時間以上残業している
従業員をピックアップできるようにしました。
結果、徐々に残業時間が減ってきているようで、メンタルヘルスの不調を訴える人も減ってきたようです。
なお、メンタルヘルス関係について、安衛法が改正される事が予想されます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001slsj.html
労働時間の管理は、人事労務管理の面では最も基本的なことであり、また重要な事です。
手間だからといっていい加減な管理を行なったり、正しい運用を行なわないと
未払い残業代やメンタルヘルス不調者への対応や、過労による労災など、大きな損害を会社にもたらすこともあります。
十分な注意を払って、労働時間管理を行なうように気をつけましょう。
藤間事務所の人事労務指導部では、未払い残業代について、無料のリスク診断も行なっております。
残業代の支払に不安がある方は、是非ご活用下さい。
http://www.toma.co.jp/pdf/risk.pdf
オカワリ君
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