行政書士の主な仕事の紹介です。
今回は「非営利法人の設立支援」についてです。
「非営利法人」とは、利益(もうけ)を目的としない法人のことです。
具体的には、特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人が
それにあたります。
数年前に法改正があったこともあり、特に一般社団・財団法人はとても設立しやすくなりました。
最近では、これまで任意団体として活動してきた方が、法人化するという例が増えています。
また、先般の東日本大震災を機に、ボランティア活動や復興支援活動を行いたいという方が
NPO法人や一般社団法人をつくって活動することも見受けられます。
弊社でもこれらの非営利法人の設立に関する問い合わせが増えています。
これらの法人は同じ非営利法人ですが、それぞれ元になる法律が異なるため、
設立の手順や構成メンバーなどが異なります。
まずはこれらの法人を設立することによる共通のメリット・デメリットを挙げます。
<メリット>
・法人名で不動産登記ができる
・銀行口座を法人名で開設することができる
・法人名で契約の締結ができる
・法に基づいて運営されるので、社会的信用が得られる
<デメリット>
・もうけを目的にすることができないため、利益を分配することができない
・法に従った運営をしなければならない
単なる任意団体ですと、銀行口座や契約の名義が代表者個人になってしまいますが、
法人を設立することで、すべて法人の名前で活動することができるようになります。
次に各非営利法人の特徴を紹介します。
<NPO法人>
主たる事務所の所在地がある都道府県が所轄庁になります。
活動内容は20分野の活動が定められており、また、
不特定多数の方の役に立つような活動であることが必要です。
設立に必要な構成員(正会員等)の人数は10人以上です。
必要書類を所轄庁に提出して、設立の認証を受けて設立します。
書類提出までに何度か都県庁の窓口に行かなければならず、
また書類を提出してから法人が設立するまで約4ヶ月程度かかります。
設立までに手間と時間がかかる法人です。
ただ、登記などに費用がかからず、「時間はかけてもいいが、経費は抑えたい」という方にはお勧めの法人です。
設立後は、税の免除がありますが、所轄庁に毎年事業報告をする必要があります。
<一般社団・財団法人>
社団法人とは、「人」の集まりによって構成される法人です。
これに対して財団法人とは、「財産」の集まりで構成される法人です。
いずれも事業目的に制限はありません。
NPO法人とは異なり、定款の認証費用や設立登記の費用がかかりますが、
手続きが簡易です。
設立に必要な書類を作成し、それを法務局に提出すれば法人が成立します。
所轄庁への報告もなく、比較的容易に設立することができます。
非営利性を徹底することにより、税制面での優遇もあります。
<公益社団・財団法人>
一般社団・財団法人の事業内容や組織の作り方、お金の使い方などについて
「公益性がある(不特定多数のためになっている)」と認められると、「公益法人」に移行することが可能です。
この移行の手続きは、内閣府や各都道府県知事に必要事項を申請して認定してもらう必要があります。
提出書類の作成から認定までは4ヶ月~半年前後かかります。
公益法人への移行が認定されると、社会的な信用を得ることができます。
また、税制面の優遇措置があります。
一方で、内閣総理大臣や都道府県知事の監督を受け、お金の使い方や活動内容について
報告する必要があります。
以上、各法人の概略を記載しました。
どのような活動を行うのか、すぐに設立したいのか、会員はどの程度いるのか、
意思決定はだれが行うのかなどによって
望ましい法人が異なります。
行政書士は、各法人の設立をお手伝いできます。
ご希望に近い法人が設立できるよう、アドバイスいたしますので、是非ご活用ください。