夏のボーナスシーズン真っ盛りですね。今回は定年退職者への賞与支給のお話です。
賞与は、「賞与査定対象期間の全部又は一部に勤務しており、かつ賞与の支給日に在籍していること」を要件して支払うとするルールは、ほとんどの会社の給与規程に盛り込まれています。こうした支給日在籍要件を設けている会社で、定年退職日が賞与支給日の直前であったようなケースで、「支給しないことについて問題はないのか?」という質問を受けることがあります。
学説の中には、退職日を自ら選択できる自発的退職の場合は有効としますが、会社都合の整理解雇や定年の場合には公序良俗違反により無効であり、勤務期間に対応した賞与請求権があるとしているものもあります。しかし裁判所は近年、この賞与の支給日在籍要件について、賞与の支給日が、例年より大幅に遅れたような場合を除き、有効とする判断を繰り返しています。
よって、結論としては、支給日在籍要件を就業規則や給与規程に設けて、これを定年退職者や会社都合退職者にも適用することは、原則として許されると考えてよい。しかし、賞与の支払基準が明確に定められておらず、労働慣行としてもそのような支払い基準が確立していないような場合や支給日が予め定められていた日より大幅に遅れたりした場合等は、支給日在籍要件の有効性自体に問題が生じるため、定年退職者や会社都合退職者に適用することは、原則として控えた方がよいでしょう。
名ばかり副理事長
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