こんばんは。
前回プロ野球選手の労働者性について書きましたが、今回は芸能人について調べてみました。私の個人的な感覚では、芸能人は好きな仕事でバンバン稼いでいるので、労働者とは言えないんじゃないの?と思ってました。
ところが、1996年3月に芸能人及びスタッフの労働者性について、労働大臣の私的諮問機関である「労働基準法研究会」にて、下記のような判断基準が示されたようです。
労働者性検討専門部会の報告書は、俳優・スタッフの仕事について、つぎのような実態があれば、労働者と認められるとしている。
①仕事の依頼や指示を断る自由がない。
②仕事の内容や進め方について、指揮監督を受けている。
③使用者の依頼や命令により、予定外の仕事をすることがある。
④仕事をする場所や時間が細かく指定され、また一方的に変更される場合がある。
⑤拘束時間や日数に応じて、報酬が支払われる。
また、これらの条件以外に、
①他社の仕事をすることが契約上制約されているか、または事実上困難である。
②報酬について、給与所得としての源泉徴収を行なっている。
といった実態があれば、労働者性が強まり、逆に、
①仕事に、自分の所有する著しく高価な機械・器具・衣裳等を使っている。
②報酬の額が極端に高額である。
といったことがあれば、事業者性が強まり、労働者とは考えにくくなる、としている。
上記の条件は、芸能事務所と雇用契約を結んでいる以外のフリー契約の場合でも、条件を満たしていれば「労働者」として扱われるとした基準です。
まあ、スターと呼ばれる芸能人には当てはまらないでしょうが、芸能人として類する人たちにもいろいろいらっしゃるようで、「2005年芸能実演家の活動と生活実態調査」によると年収100~200万円未満に該当する人が最も多いとのこと。華やかな世界だけに、悲しい現実ですね。それじゃあ、いくら好きなことを仕事にしていても、業務中にけがをしたら、労災の適用があって欲しいと思いますよね。
実際に、映画カメラマンが、過労死認定を巡って14年間、新宿労働基準監督署と争った事例があるようです。(高裁判決で「労働者性」を認めて業務災害と認定された。)
前回、今回と労働者性について調べてみましたが、プロ野球選手にしても芸能人にしても、一部スターの人たちが目立ってしまうので、労働者という感覚とは違ったものに感じますが、その世界を下で支えている人たちには、労働基準法で守られてしかるべき人たちもたくさんいるようです。
ブラックキティ
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