アフターファイブや休日を利用してアルバイトをする社員がいた
場合に、そういった社員に対して会社側はアルバイトを辞めるよう
に勧告したり、解雇したりすることが出来るのでしょうか?
兼業は、公務員については法律により禁止されていますが、民間
企業の場合には労働契約や就業規則でどのような定めを設けている
かによることになります。しかし、就業規則や労働契約で兼業を禁止
していたからといって、必ずしもその社員を解雇できたり、または
アルバイトをやめるように強制したりすることは出来ず、注意が必要
です。
◆アフターファイブは労働者の自由時間
そもそも、使用者は労働者の私生活上の自由な時間までも支配でき
るものではありません。労働契約は就業時間中の労務提供義務に関す
るものなので、就業終了後の私的な時間には使用者の支配は及ばず、
労働者が自由に使えるのです。
では、どういった場合に使用者は従業員の他社でのアルバイトを
辞めさせたり、解雇したりすることができるのでしょうか?
◆兼業禁止条項が認められるには
兼業を禁止する主な目的としては、夜にアルバイトをしたため十分
な休息がとれず、翌日の業務に支障が出てしまうのを防止するため
だったり、或いはアルバイトの内容次第では会社の体面に影響を及ぼ
してしまう場合もありうるので、そういった状況を避けるためであっ
たりします。また、競合他社との兼業を避けるためということもあ
ります。
判例も、こういった状況を避けるために兼業を禁止する条項を就業
規則に定めることは合理性があるとし、違反した従業員を解雇した
場合にもその解雇は有効なものであると認めています。
逆に言えばこういった事情がない場合には、アルバイトをしている
からといって解雇をしても、解雇は不当なものとして認められません。
◆兼業を認めた場合の注意点
従業員がアルバイトなどをしている場合、その賃金の支払いには
注意が必要です。例えば朝に新聞配達のアルバイトを2時間してから
出社してきた従業員がいた場合、その時間を通算して労働時間が一日
8時間を超えた場合には、その超えた部分については割増賃金を支払
わなければなりません。
新聞配達 自 社
2 時 間 + 8時間 = 10時間
割増賃金を支払う義務があるのは、通算して8時間を越えたほう!
(上の例だと自社が2時間分について割増賃金を支払わなければな
りません)
最近のコメント