あるクライアント先の兼務役員の方が、出産することになりました。
その会社では、過去に従業員数名が育児休業を取得しており、その役員も育児休業を1年程取るつもりとのこと。
その際の健康保険や厚生年金の保険料免除についてご質問を受けました。
さて、そこで育児休業について原則を確認しましょう。
育児休業は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」という
長い名前の法律を根拠に取る休業です。
この休業は、誰でも取得する事ができるのでしょうか?
答えは「×」です。何故なら、この法律の第二条における育児休業の定義は、
「労働者が(途中略)、次章に定めるところにより、その子を養育するためにする休業をいう 」とあります。
この労働者とは労働基準法の労働者と同じであり、役員はそもそも労働者ではない為、この法律の
対象外となっているのです。 従って、役員報酬の支給の有無に関わらず、健康保険や厚生年金の
保険料免除の対象とはなりません。
では従業員部分を持つ兼務役員はどうでしょう?
これは労働基準法の通達の中に「法人の重役で業務執行権または代表権を持たない者が、
工場長、部長の職にあって賃金を受けるものは、その限りにおいて労働者である」 という
通達があります。
つまり従業員部分を持つ役員の場合は、役員報酬が出ている場合であっても、育児休業を取る
事が出来るのです。またそれに伴い保険料の免除も受ける事が可能です。
役員報酬を受け取っていても保険料は免除される不思議さ。
兼務役員ならではの事例でした。
neko's
最近のコメント