『 匿名電話① 』
私の担当しているクライアントでの出来事です。
「お宅の工場で私の知り合いがセクハラを受けて困っているから、早く止めさせろ」
ある日突然、会社にこんな電話がかかってきました。
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
名前を聞こうとすると、一方的に電話を切られてしまいました。
相談を受けた私は、匿名電話であり、確かな情報でもなく、当事者も特定できない情
報であったので、匿名電話を鵜呑みにして、一方的にセクハラの事実を突き止めよう
とすることは、関係のない社員には怪しまれ、噂をたてられる可能性があり、また、
もしそれが事実であるとすると、聞き方を間違えた場合には、加害者の行為をエスカ
レートさせてしまったり、被害者を働きづらい環境に置きかねない懸念があったため、
慎重にヒアリングをしていただき、また、ダイレクトにセクハラの事実を確認するの
ではなく、
「最近調子はどう? 何か問題や困ったことはない?」
といった程度の確認が限度であるとアドバイスいたしました。
早速、総務部長は工場へ入りヒアリングを行いました。
別件で工場へ入ったついでに、それとなく聞き込みをしました。
製造工場で班体制で業務を行っているため、女性社員を抱える班長を中心に聞いてみ
たそうです。
しかし、セクハラをしている噂や事実は散見されませんでした。
私も総務部長もイタズラ電話かと思い、また、匿名電話であったため電話の相手へ回
答することもできず、しばらくそのまま様子をみることにしました。
しかし数週間後、また会社へ匿名の電話がかかってきたのでした。
つづく
ミラバケッソ・ワタナベ
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