従業員が不祥事を起こしたとき、始末書を書かせることがあります。
今回と次回の2回にわたって始末書を書かせる場合の注意点について
ご説明いたします。
従業員が遅刻など比較的軽微な不祥事を犯した場合、使用者はいき
なり解雇など重い処分を下すことは出来ません。まずは譴責処分など
軽い処分を下して社員に警告し、それでも同じミスを繰り返すようで
あれば処分を重くしていく必要があります。
こういった処分を下すなかで始末書を書かせることは一般的ですが、
今回は始末書の目的・内容、書かせる際の注意点などをご説明します。
◆始末書の目的
始末書を書かせる目的は、
①事実関係を明らかにして、再発の防止に役立てる
②社員の反省を促して、社内秩序を回復する
③後々、訴訟になった時のために証拠を残す
といったことが考えられます。③の目的を考えると、始末書は内容
だけでなくその始末書を取るときのプロセスが重要になってきます。
つまり、始末書が公正な手段に則って作成されたということが必要
になります。
◆始末書の内容
始末書に書かせる内容で重要なことは、まず5W1H(いつ、
どこで、誰が、何をした)を明確にすることです。続いて従業員に
謝罪の言葉を述べさせ、最後に「二度といたしません」など誓約する
旨を書かせます。
このように始末書は、事実関係を書かせる部分と、従業員の謝罪等
を書かせる部分の二部構成となっているのが一般的なフォームと言え
ます。
また、場合によっては従業員の弁明を書かせるのもよいでしょう。
そうすることで上述した公正な手段に則って始末書が作成されたと
言うことができるからです。
◆始末書を書かせる際の注意点
始末書の目的で述べましたが、始末書は公正な手段に則って作成
されなければなりません。公正な手段とは本人に弁明の機会を与えた
かといったことや、始末書をとる段階で無理やり書かせるなどといっ
た不当な点はなかったかということです。
始末書に従業員の弁明を書かせた場合には、弁明の内容が自分勝手
で反省の色が全くないものだとしても、付き返したり書き直させたり
するのは得策とは言えません。むしろ従業員が真摯な態度を取ってい
ない証拠となります。どうしても書き直させるなら、最低でもコピー
だけは取っておきましょう。
次回は従業員が始末書の提出を拒んだ場合の対処法をご説明します!
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