平成19年8月28日に、厚生労働省が税制改正要望を出しました。あくまでも要望の段階であり、例年と異なり参議院では与党が過半数割れしてますので、平成20年度の税制改正はどのようになるか分かりませんが、厚生労働省がどのような要望を出しているのか参考までにご紹介したいと思います。
今回は、医療法人関連の税制改正要望をご紹介します。
(1) 医療法人に係る法人税率の引き下げ
医療法に基づき設立される医療法人について、その経営の安定を図るとともに医療法人の活動を推進するため、医療法人の法人税率を公益法人の収益事業と同率の22%に軽減する。
解説
この要望は毎年のようにしていますが、今までなかなか通っていません。
(2) 特定医療法人に係る非課税措置の創設
公益性の高い特定医療法人への移行を促進するため、特定医療法人の医療保保健業に係る法人税を非課税とする。
解説
特定医療法人は、公益性の高い医療法人として国税庁長官の承認を受けた医療法人をいいます。現在一律22%の法人税率という優遇措置を更に優遇し、非課税にして欲しいという要望になります。
(3) 社会医療法人に係る非課税措置等の創設
平成20年度から都道府県が新たに見直す医療計画に基づき、地域において確保が困難な医療を担う社会医療法人について、以下の措置を講ずる。
①社会医療法人の医療保健業に係る法人税を非課税とし、収益業務の法人税率を軽減する(30%→22%)
②社会医療法人に寄附をした者の所得からの寄附金を控除する。
③社会医療法人に相続財産を寄附した場合の相続税を非課税とする
④社会医療法人に寄附をした法人について当該寄附金を一般の損金算入限度額とは別に損金算入する。
解説
既存の公益法人などに認められている措置を社会医療法人にも適用させて欲しいという要望内容になっています。税率に関しては、国税庁が承認した特定医療法人と都道府県が認定した社会医療法人で、同じ税率を適用して良いのかという問題点もあります。
(4) 改正医療法に基づく新たな医療法人への円滑な移行のための課税判定基準の見直し等
非営利性を徹底した新たな医療法人類型(基金拠出型医療法人等)について、現行の医療法人から円滑な移行を促進するため、贈与税課税の判定基準を緩和すること、みなし配当所得課税の繰り延べ措置を行うこと、法人出資者が出資持分を放棄する場合には寄附金に該当しないこと等の見直しを行う。
解説
多くの医療法人が待ち望んでいる要望になります。移行に伴い、贈与税課税がされなければ出資持分から基金制度へと移行させる医療法人は多いと思います。
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