平成18年度の税制改正により「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」という規定が設けられました。この制度を簡単に説明すると、実質的なオーナー1人会社などは、節税目的で法人化する場合が多いので、このような会社においては、オーナーに支給する給与のうち給与所得控除相当額については、損金として認めないという制度です。
要は、「法人化による節税を認めない」措置です。
この規定は、平成18年4月1日以降に開始する事業年度より適用されます。よって、今までより多くの法人税を負担することになった会社も多いことでしょう。
さて、医療法人は昭和60年の医療法改正により一人医師医療法人の設立が可能となり、約34,000件の診療所が一人医師医療法人化しています。一人医師医療法人化のメリットとして、上記の節税が挙げられますが、一人医師医療法人においても上記の規定が適用されてしまうのでしょうか?
答えは、「NO」です。
この規定は、「特殊支配同族会社」に適用されます。会社とは、会社法で規定する株式会社等を指します。医療法人は、会社法とは異なる医療法という法律で規定している法人制度ですので、「会社」ではありません。よって、上記の規定は適用されないことになります。
なお、「会社」は利益処分に変わり株主資本等変動計算書を作成することとなりましたが、医療法人は会社法の適用を受けないので、株主資本等変動計算書を作成する必要はありません。ただし、例外的に医療法の改正により誕生した「社会医療法人」のうち社会医療法人債を発行する医療法人については、「純資産変動計算書」を作成することになります。
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