平成18年12月14日に、自民党の税制改正大綱が固まりました。今回は、この中から医療機関に関連のある部分をご紹介します。
① 療養病床等を介護老人保健施設等に増改築した場合の特別償却制度の創設
青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成19年4月1日から平成21年3月31日までの間に、療養病床等を介護老人保健施設等とするための増築又は改築をした場合には、その用に供した日を含む事業年度におけるその増築又は改築により取得等をした介護老人保健施設等の基準取得価額の15%相当額の特別償却ができる措置を加える。
解説
療養病床等の削減に伴い、老人保健施設等への円滑な移行を推進するために設けられた制度であることが伺えます。特別償却ですので、前倒しで償却費を多く計上することにより、法人税の繰り延べを図ることが可能となります。
②救急医療用機器に係る特別償却率の上乗せ措置を廃止するとともに、特定医療用建物の割増償却に係る措置を除外する。
解説
平成19年3月31日で医療用機器等の特別償却は期限切れを向えることになっていましたが、今回の改正で2年間延長されることになりました。ただし、救急医療機器については、特別償却率が20%とされていますが、「その上乗せ措置の廃止」とありますので、平成19年4月1日以降は、特別償却率が14%になるものと思われます。
次に、特定医療用建物の割増償却についてですが、療養病床の削減に伴い割増償却が廃止されることになります。ここでも、①の介護老人保健施設等への転換を促しているように感じられます。
③建替え病院用等建物に係る措置について、医療の提供体制の整備に資するための基準を見直す。
解説
現在、一定の要件を満たした病院等の建替えを行った場合には、建物の取得価額の1/2の15%(実質7.5%)を割増償却できることとされています。この対象となる建物については、厚生労働大臣の定める基準(病床数を10%削減、紹介率20%以上など)を満たす必要がありますが、この厚生労働大臣の基準を見直すことになるようです。どのように見直されるかは、今後明らかにされることと思います。
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