ねじれ国会に先日の大震災の影響も加わり、平成23年度税制改正法案は年度内成立が見込まれない状況にあります。このままでは、平成23年3月31日で期限切れとなる取扱いが多数あります。そこで、国民生活等の混乱を回避するために、議員立法により、「つなぎ法案」として、暫定的に期限を延長する措置が取られる予定です。延長期限としては、平成23年3月31日に期限の到来する租税特別措置等について、平成23年6月30日まで延長されることになります。
今回は、このつなぎ法案の中で、医療関係者にも影響がある部分について、2点ご報告いたします。
① 中小企業者等の法人税率の特例
現在、中小企業者等の法人税率のうち年所得800万円以下の部分について18%という軽減税率が適用されています。政府与党の税制改正では、この税率を15%に引き下げるとしていましたが、法案が成立しないことにより、引き下げどころか22%に引き上げられてしまいます。この引き上げが行われないようにするため、つなぎ法案により18%の税率が6月30日まで継続されることになります。
なお、この法人税率の特例は平成23年3月31日までに終了する事業年度については、今までどおりの取扱いが適用されます。つなぎ法案により、引き下げの効果が実質的に出るのは、平成23年4月1日~平成23年6月30日までの間に終了する事業年度の法人が対象となります。医療法人は、3月決算が多いため、殆どが今まで通りの取扱いになるかと思いますが、4月~6月に事業年度が終了する医療法人については、つなぎ法案の成立により、引き続き軽減税率が適用されることになります。
②医療用機器等の特別償却の見直し
医療用機器等の特別償却制度について、平成23年度税制改正では特別償却率の引き下げなどの見直しを行った上、その適用期限を2年延長するとされていました。しかし、この法案も成立しておりませんので引き下げ前の規定により6月30日まで延長されることとなります。なお、この取扱いは事業年度単位ではなく事業供用日での判定となります。医療用機器等を6月30日までに取得し、事業の用に供していれば、事業年度に関係なく全ての医療関係者(個人、法人も問わず)が適用を受けることができます。
以上になりますが、引き続き平成23年度の税制改正がどのようになるのか気になるところです。また、震災に関連した特別措置も現在検討されており、どのような規定が適用されるかで、今後の経営に影響が出てきます。藤間公認会計士税理士事務所では、4/17(日)14時より医療機関限定で税制改正セミナーを開催いたします。税制改正のみならず震災に関連した特別措置等につきましても情報が入り次第お伝えして行く予定ですので、まだお申込みをされていない方は奮ってご参加ください。
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