今現在、国は社会保障と税を一体的に把握するために共通番号制度の導入を推し進めている事はご存知でしょうか?これは、住民票コード等の番号を用いて、国民一人ひとりを管理する制度であり、諸外国ではすでに導入されているシステムです。
クリニックを経営されている先生方にも大きく関わってくるため、今回はこの共通番号制度についてお伝えします。
政府の実務検討会は、2014年6月に国民に番号を配布し、2015年(平成27年)1月から段階的に利用を開始する基本方針案を了承しました。このシステムの導入で、医療、介護などの保障分野と各税務分野で番号が利用できます。
共通番号制度のメリットとデメリットを挙げてみました。
メリット
社会保障分野
①高額医療・高額介護合算制度の改善→自己負担の上限に達した場合に、立て替え払いをすることなくスムーズにサービスを受けられる |
②自己診療情報の活用→番号を記載したカードを提示すれば、年金手帳や医療保険証、介護保険証を提示したものとみなされる |
③保険証機能の一元化→年金手帳、医療保険証、介護保険証などの個人情報が一枚のICカードに集約される |
④給付可能サービスの行政側からの通知→行政側からの情報提供が受けられる |
医療分野
手続きの簡略化→確定申告の際、医療費控除等の控除証明の添付や保存が不要となる |
税金分野
所得再分配機能を強化→納税者の所得情報が把握できるため、貧富の差を緩和することが可能 |
デメリット
クロヨンの問題(注)の解消→自営業者等の所得が税務署によって一元管理される |
プライバシーの問題→個人情報が把握されるため、情報が流出した場合の損害・損失が大きい |
導入にあたって、医療分野である日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会や日弁連は個人情報の漏えいなどの懸念から制度導入に反対、慎重な姿勢でありますが、他の団体はおおむね賛成の意見であります。
今後の課題は、プライバシー侵害やセキュリティリスクをどのように解消していくかにあると思います。
まだまだ実施できるか不透明な状態ですが、すべての国民に関係することであるため、クリニックの先生方にも知って頂きたくお伝えしました。新しい動きがある場合には、逐一ご報告させていただきます。
共通番号制度について、ご興味がある方はお気軽にご連絡下さい。
クロヨンの問題(注)・・・自営業者に比べ、サラリーマンの重税感を表す言葉。所得のうちサラリーマン(給与所得者)は9割、農業従事者は6割、自営業者は4割が税務署に把握されていると言われています。
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