平成23年度の厚生労働省税制改正要望事項の中に、医療法人の出資持分に関する税制改正の要望が含まれています。今回はその内容についてご紹介します。
【要望内容】
持分あり医療法人については、出資持分に係る相続税により医業の継続が困難となるとの指摘がある。地域医療を継続しつつ、持分あり医療法人が持分なし医療法人へ円滑に移行できるようにする必要が求められている。
そこで、持分あり医療法人のうち、持分なし医療法人への移行を検討するものについて、移行期間(最長3年間)中に出資者の死亡に伴い相続人に発生する相続税については、納税を移行期間内は猶予する措置を創設する。それとともに、移行期間内に一定の要件を満たす持分なし医療法人に移行した場合に猶予税額を免除するなどの特例措置を創設する。
併せて、持分なし医療法人への移行中の出資額限度法人については、出資者等による持分返還に伴い残存出資者に発生するみなし贈与の課税の判定時期を移行期間終了時等とする取扱いとする。
【解説】
持分の定めのある医療法人が抱える課税上の問題点を解決しようとするために、創設を検討している内容です。持分なしの医療法人への移行中であれば、出資者の死亡に伴う相続税の納税を猶予し、3年以内に一定の要件を満たす持分なしの医療法人に移行すれば、その猶予税額を免除するという要望内容です。
既存の法律では、課税されずに移行するためには、特定医療法人や社会医療法人並みの要件が求められています。ここでいう一定の要件が、特定医療法人や社会医療法人よりも緩ければ、移行することが可能な医療法人も出てくるのではないかと思います。
12月には税制改正大綱が発表されますので、その際にどのような内容が盛り込まれるのか引き続き注目していきたいと思います。
医療法人の出資持分に関してお困りの方は、お気軽にご連絡下さい。一緒に解決の道を探りましょう!
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