厚生労働省は、平成22年7月22日に「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の第2回目の会合を開きました。検討会の中で、ホームヘルパーと介護福祉士に対し、たんの吸引と胃ろうによる経管栄養の実施を認める方針で合意が為されました。そして、次回以降の会合で、具体的な研修内容などの検討がされることが決まっています。
会合の中で、「急性期やターミナル期における医行為は、医師もしくは指示を受けた看護職員が行う」、「経管栄養については、現行の特別養護老人ホームにおける対象範囲・実施体制を踏襲すべき。経鼻経管栄養については、介護職員の実施は認めるべきではない。」、「老人保健施設におけるたんの吸引や経管栄養については、医師もしくは看護職員が実施すべき。」などの意見が日本看護協会側から提出されました。
これに対して、「すべてのナースはたんの吸引などの医行為をちゃんとできるのか?」「看護師ならできる、介護士はできないという発想は間違いだ。」「法律上、介護職員がたんの吸引などの医行為ができないと定められている現状こそが危険」との激しい反論や主張がありました。この主張に対して、他のメンバーも、ホームヘルバーと介護福祉士に対し、たんの吸引と経管栄養を認めることを前提に、研修や法整備についての議論を進める方針に賛同しました。
また、医行為を行うことができないはずの介護職員が、たんの吸引や経管栄養を実施するという矛盾を解消するため、たんの吸引などを、医行為そのものから外すそうとする提言もありました。けれども、まず行うべきことは、介護職が医行為をできるようにするための教育についての議論で、その上で、法律についての議論をするべきであるとの意見が多数あり、年内に結論を出すことを目標に、第一に、ホームヘルパーや介護福祉士がたんの吸引や経管栄養を実施する上で必要な研修の内容について検討をすること、その次に法整備に関する検討をしていくという方針でまとまりました。
実際の介護現場では、リスクに対する不安の声も聞こえますが、利用者からは実施を認めることを早急に切望する声もあり、対応への関心が高まっています。
今後の動きを確認しつつ、ヘルパーや介護福祉士への研修を速やかに対応し、時流にあった運営を目指していきましょう。
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