厚生労働省が平成22年3月3日に、平成21年度介護従事者処遇状況等調査結果について公表しました。これは、平成21年度介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に反映されているかを検証するための調査で、平成21年10月1日に実施されました。
1.介護従事者の給与等の引き上げ状況
4月から9月の間に何らかの引き上げを実施した施設・事業所は全体の68.9%で、10月以降に実施する予定の施設・事業所を含めると81.6%となっています。
2.経営主体別にみた給与等の引き上げ状況
ほとんどの経営主体で定期昇給を中心に給与等の引き上げを実施していますが、営利法人は他の経営主体と比較して定期昇給の実施率が低く、給与等の引き上げを予定していない事務所の割合が高くなっています。
3.施設・事業所別にみた介護従事者の平均給与額の状況
調査時点で調査対象施設・事業所に平成20年及び平成21年ともに在籍していた介護従事者の平成21年の1ヶ月あたりの平均給与額は、前年同月と比較して平均で約8,900円の増加になっています。
また、施設・事業所別にみると訪問介護事業所で約5,600円、介護老人福祉施設で約12,200円の増加となっています。
4.給与等以外の処遇状況(処遇全般)
処遇全般の項目をみると、「職員数の増加による業務負担の軽減」で処遇の改善が図られており、介護保険施設における「夜勤職員配置加算」等の創設など、介護報酬改定の影響が伺えます。
また、「能力や仕事ぶりの評価と配置・処遇への反映」、「昇給または昇進・昇格要件の明確化」、「賃金体系等の人事制度の整備」は今後実施予定の割合が多く、介護職員処遇改善交付金の交付要件にキャリアパス要件を課すこととしている影響が伺えます。
5.給与等以外の処遇状況(教育・研修・職場環境)
教育・研修の項目をみると、「資格取得や能力向上に向けた教育研修機会の充実や対象者の拡大」や「資格取得や外部研修参加にかかる費用等の負担」で処遇の改善が図られており、「サービス提供体制加算」の創設など、介護報酬改定の影響が伺えます。
職場環境の項目をみると、「仕事内容や労働条件に関する個別面談機会の確保」、「腰痛対策、メンタルケア等を含めた健康管理の充実」、「出産・子育て・家族等の介護を行う職員への支援の強化」で今後実施予定の割合が高くなっています。
ほとんどの施設・事業所において、給与等の引き上げを実施している中、営利法人の実施率は低い結果となっています。その理由は、施設総数に占める営利法人の割合は最も多いものの、金銭面的に運営のし易い他の営業主体に比べると、実施に踏み切ることが難しかったためでしょう。
貴事業所は、今回公表の平均値と比べてみていかがだったでしょうか?
今後、ますます人材確保対策が重要な課題となってきます。それは、労働条件や職場環境の良い事業所に、優秀な人材が流れていくことが十分に考えられるからです。処遇改善は、様々な方法で実行できます。既に、TOMAのお客様も給与アップなど、介護従事者の処遇改善に取組んでいます。その結果、職員のモチベーションも上がり、以前よりも介護サービスの質が向上しつつあることを実感されているようです。これにより、今後の優秀な人材確保にもつながっていきそうです。
負のスパイラルに陥らないように、それぞれに合ったやり方で改善を行い、従業員の仕事や職場に対する満足度を高めていきましょう。そして、より良い人材の確保ができるように取組んでいくことが必要です。
就業規則や給与の改善など、疑問に感じることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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