平成22年2月26日付のブログで、医療機関の立場から見た平成22年度税制改正についてお伝えしましたが、医療法人間のグループ税制について明らかになった部分がありますので、お伝えします。
(1)グループ法人税制とは?
グループ内(100%資本関係のある国内会社間)の取引等について、含み損益を実現せずに円滑に資産移転ができるようにする等、グループ経営の実態を踏まえ、中立的な税制を整備することとされました。例えば、含み損のある資産をグループ会社間等で売却して売却損を計上したとしても、それはなかったものと考えて申告をする制度になります。今までは、含み損のある資産について一旦売却することにより、法人税の負担軽減が可能でしたが、平成22年10月1日以後はグループ間の取引等についてはその売却損は損金に算入されません。
(2)医療法人は対象になるか?
医療法人は「会社」ではないため、留保金課税制度や非上場株式等の相続税等の納税猶予制度の対象とはなっておりません。しかし、このグループ法人税制では支配関係について株式若しくは出資で判定することとされていますので、出資持分の定めのある医療法人の場合、グループ法人税制の対象範囲に含まれることとなります。
(3)医療法人で想定されるグループ関係
では、どのようなグループ関係の場合グループ法人税制の対象となるのでしょうか?例えば、次のようなケースの場合の法人間の取引はグループ法人税制の対象となります。
①医療法人同士がグループ関係にある場合
A 医療法人への出資・・・理事長 100%
B 医療法人への出資・・・理事長の子 100%
②医療法人と一般法人でグループ関係にある場合
A 医療法人への出資・・・理事長 100%
B 一般法人への出資・・・理事長の配偶者 100%
なお、出資持分の定めのある医療法人以外(財団医療法人や基金拠出型医療法人)は、出資を有しない法人であるのでグループ法人税制の対象からは外れることになります。
まだ、これから細かい取り扱いが出てくることになりますが、持分の定めのある医療法人の場合にはグループ法人税制の対象となりますので、グループ間での取引を行う場合には十分に注意する必要があります。
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