【事 例】
3月決算の会社が、あらかじめ更地にして利用ないし処分するつもりで、平成19年10月に土地を100,000,000円で、建物を5,250,000円(内、消費税250,000円)で買い、2,000,000円の費用をかけ、直ちに建物を取り壊し(廃材の処分価額ゼロ)、更地にし、代金を共に小切手で支払った。その後、新建物(耐用年数50年(償却率0.02)を平成20年4月中に完成させ、直ちに引渡を受けると同時に、建設費用6,300,000円(内、消費税300,000円)を小切手で支払い、直ちに事業に供した。
【仕 訳】
Ⅰ.土地建物取得日(平成19年10月)
(借) 土 地 105,000,000 (貸) 当座預金 105,250,000
仮払消費税等 250,000
Ⅱ. 建物取壊費用支払日
(借) 土 地 2,000,000 (貸) 当座預金 2,000,000
Ⅲ.新建物完成・引渡及び代金支払時(平成20年4月)
(借) 建 物 6,000,000 (貸) 当座預金 6,300,000
仮払消費税等 300,000
Ⅳ.決算日(平成21年3月31日)
(借) 減価償却費 120,000 (貸) 減価償却累計額(間接法) 120,000
又は 建 物 (直接法) 120,000
(計算式) 6,000,000×0.02×12/12=120,000
【消費税】
減価償却資産に係る消費税額は、その購入した課税期間において仕入税額控除されますので、その後の減価償却費は課税対象外(不課税)とされます。
【表 示】
製造用のものは製造原価、投資不動産に係るものは営業外費用、税法上の割増償却・特別償却の場合は特別損失又は利益剰余金の減少(積立金方式)、それ以外は販管費とされます。
【解説】
減価償却とは、過去の支出たる取得原価を、定額法、定率法などの一定の方法で、各事業年度に規則的に配分し、費用として見積計上するものです。現金などの資金流出を伴わないので、「非資金費用」と呼ばれ、名目貨幣資本維持の観点から、再取得に必要な資金の社内留保として機能します。
この減価は、あくまで仮定であって、収益性低下に基づく固定資産の減損や、機能的減価に基づく臨時償却、物量的な減耗償却等とは異なりますし、現実には、取壊しに高額の費用がかかったりします。ちなみに、建物の撤去費用は、土地の原価に含まれることになります。
減価償却は再投資のための資金留保となりえますが、同じレベルのものをまた買える訳ではありません。そこで、「名目貨幣」資本維持とされます。
吉田こと田中