<少額経費はまとめて会計処理>
①小口経費は1ヵ月分をまとめて計上
経費精算が1ヵ月分まとまったら、会計処理もまとめてやると効果が倍になりま す。
今まで小口現金で交通費を精算していたときは、個別に現金出納帳に記帳されていました。これが、月に1度の精算になれば、1ヵ月間に使った交通費をまとめて一つの仕訳として経理処理することができるのです。
言い換えれば、これまで何枚も書いていた伝票が1枚で済むということです。
したがって、経費計上の仕訳数がかなり減り、毎日やっていた経費精算の仕事が月に数時間で終わることを実感していただけると思います。
②法人税上も少額経費はまとめてOK!
「まとめて計上して、税務調査で問題になりませんか?」
少額経費の一括計上を提案すると、どこの会社でも必ず心配されます。
ほとんどの会社は、青色申告(きちんと帳簿をつけることにより税務上の特典が受けられる申告制度)を選択しています。青色申告の様々な特典を受けるためには、法人税法の規定(法人税法施行規則第54条・別表22)に従わなければなりません。
青色申告における経費の記載の仕方を調べてみると、少額の経費は、科目ごとにその日の合計額で計上していいことになっているのです。
税法においても、重要性の低い少額な経費については、事務コストをかける意味がないことをハッキリと示しています。
③経費精算申請書があれば消費税の帳簿要件もクリア
少額経費を まとめて経理することについて、法人税は大丈夫でしたが、消費税は少し面倒です。
原則として、消費税法では、「いつ、誰に対して、何にいくら払ったのか」を帳簿に記載しなければならなくなっています。これを記載しないと、買ったときに負担した消費税を売上の消費税から控除させないという厳しい規定になっています。
でも実は、その帳簿とは、必ずしも元帳でなくてもいいことになっているのです。
会計伝票や経費帳などのどこかに相手先と取引内容の記載があればいいのです。
ですから、経費を集計する「経費精算申請書」さえ保管しておけば、元帳へは合計額だけの記載で問題ありません。「経費計算申請書」には、消費税の帳簿要件になっている事項がすべて記載されているからです。
〈消費税法30条⑧一〉(抜粋)
(仕入れに係る消費税額の控除)
「前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。
課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合に
は、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行った年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 課税仕入れに係る支払対価の額 」
〈消費税法基本通達11-6-1〉(抜粋)
(仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例)
「(前半省略)帳簿とは、同号イからニに規定する記載
事項を記録したものであればよい」
(BY GOTOKU-Style)
※ 藤間事務所は、代表・税理士児玉尚彦氏が主催する「経理合理化プロジェクト」のプロジェクト推進事務所です。本文は税理士児玉尚彦氏の著書『キャッシュレス、伝票レス、社員レス!ココまでできる経理の合理化』、『「儲かる経理」に30日で変わる究極の方法』から引用しています。