医療機関がレセプトによって請求した医療費が、「支払基金」等の審査によって減額査定された場合、患者さんが医療機関の窓口で支払った一部負担金も本来は減額されます。しかし、実際には患者さんの減額分については、患者さん本人に返還されるケースは少ないと思います。
理由としては、患者さんに減額の通知が届いていないということが挙げられます。自己負担で払った金額が1万円以上多すぎた場合には、保険運営者が払い過ぎた額を患者さんに通知することとされていますが、2006年11月23日の日経新聞によると、全国で18,000件が通知されていなかったそうです。通知がなければ、患者さんにとっては自分が払い過ぎていたことに気づかず、そのまま医療機関の収入となってしまいます。また、1万円を超えないようなケースも多いため、そのようなケースではそもそも通知がされていません。これでは、患者さんが気づく訳もありません。
しかし、2006年10月1日より医療費の内容の分かる領収書の交付が義務付けられたことと、医療費減額通知の発送の徹底が図られると、今後は患者さんからの返還請求が増えると予想されます。
医療機関は減額査定があった場合には、患者さんへも返還しなければならないことに留意し、患者さんから返還請求があった場合には、速やかに返還できるようにしておかなければなりません。ただでさえ払い過ぎたと思っている患者さんに対する応対が悪いと、医療機関の評判を下げることにもなりかねませんので、十分に注意する必要があります。
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