今回は前回に引き続き、印紙税についての基礎知識をご紹介します。
◎印紙税は「文書税」!
≪ポイント≫
印紙税は、作成された文書に課税されるものであり、その前提となる取引に対して課税されるものではありません。
① 日常の経済取引を行う場合には、一般に何らかの形で書面に残しておく慣習があります。契約書、証券、領収書・・・などです。
これらの文書は、契約の成立・その内容の変更など、法律行為に関する各種事実等を証明したり、後日の紛争に備えるものであったり、場合によっては紛争等を未然に防止するというような効果が期待されることもあります。
例えば土地の売買が行われれば、、、
売主 ⇒ 売買対価としての代金を受領する
買主 ⇒ 土地という資産を手に入れる
印紙税は、このような流通取引・互いの利益享受に担税力を見出し、その取引に際して作成される「文書」に対して課税しようとするものであり、いわゆる「流通税」の一種ということができます。
② 「流通税」であると同時に、「文書税」であるところにも特色があります。
これは、流通税としてその取引自体に課税するものではなく、「文書」に対する課税であるということです。つまり、1つの取引に際して契約書を2通作成すれば、その2通ともに印紙の添付が必要であり、また予約と本契約の双方の契約書にも課税されることになるのです。
逆に、文書を作成しなければ、印紙を貼付する必要はないわけです。これは、印紙税が流通税であるといっても、取引税のように、その取引そのものに課税されるものではなく、その取引を背景として「文書が作成される」ということに着目しての課税であるからです。
ですから、文書を作成しなければ印紙を貼付する必要はまったくありませんし、それをもって、罰せられることはありません。また、印紙を貼付していない文書が無効だということもありません。印紙を添付すべき文書に添付をしていなければ、印紙税法に違反して過怠税等の罰則規定が適用されるのであり、不貼付をもって、その文書の効力に影響を及ぼすこともなく、文書自体の有効性や無効性が問われるものではないのです。