今回は「文書」についての基礎知識をもう少し掘り下げてご説明します。
◎ 印紙税の課税の対象は限定列挙!
≪ポイント≫
印紙税は、課税物件表に掲名されている文書にのみ課税されます。これを課税文書限定列挙主義といいます。
① 印紙税は、流通取引に際して作成される「文書」に対して課税しようとするものであると前回ご説明しましたが、それは印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられた文書に限られます。掲げられていない文書については、その取引がどれだけ重要であっても、どれだけ利益を上げようとも印紙税を払う必要はありません。課税の対象外となるのです。
② 印紙税法別表第一の課税物件表には、第1号から第20号まで課税される文書が列挙されています。作成された文書が課税文書に該当するかどうかということが最も重要な問題であるのですが、その判断が容易なものばかりではないのです。
③ 掲名されている課税文書の中でも、「約束手形又は為替手形」「株券」「出資証券」「預貯金証書」「保険証券」などのように、その記載事項や形式等が一定しているようなものは、その標題だけで課非判定をすることができます。しかし、そうではない文書に関しては、その文書の内容や記載事項等について入念に検討しなければなりません。
また、「契約書」に該当することと「課税文書」に該当することは全く意味合いが異なることになります。その「契約書」が「課税文書」に該当するかどうかについては「課税文書に該当するための一定の要件の記載(課税事項)があるかどうか」などの検討が必要となるのです。この点が、印紙税を難しくしている要因のひとつではないでしょうか。