年末になりますと、毎年税制改正大綱が発表されます。既に大綱の作成に向けて
各関係省庁が要望事項を出しておりますが、
医療機関に関係の深い厚生労働省の要望事項につきまして、
影響の大きなものをピックアップしてお伝えいたします。
1.医業継続に係る相続税、贈与税の納税猶予等の特例措置の創設(相続税、贈与税)
持分のある医療法人が、最長3年間の期限を定めて
持分のない医療法人への移行を進める場合、
移行期間中の相続税、贈与税の納税を猶予し、移行後に猶予税額を免除する。
2.社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続(事業税)
社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を存続する。
3.社会保険診療等に係る消費税のあり方の検討(消費税)
医療機関のいわゆる「損税問題」につき、
今後消費税を含む税体系の見直しを行う場合に、
社会保険診療等に係る消費税に関する仕組みや負担を含め、
そのあり方について検討する。
4.雇用促進税制の拡充(所得税、法人税)
雇用増加数1人あたり20万円の税額控除を行う現行の雇用促進税制について、
税額控除の額を引き上げる。
消費税の「損税問題」については、来年から改正される見込みは薄いと思われますが、
改正内容によっては固定資産投資計画等に大きな影響を与える項目です。
消費税率アップの議論と切り離せない部分となりますので、要注目です。
また、出資持分の扱いについては
歴史のある医療法人でしばしば問題となっておりますが、
持分のない医療法人への移行が税務上もスムーズに進むことで、
医療機関の存続が推し進められることも見逃せません。
ただし、持分の放棄に伴い「相続税等の負担を不当に減少させない」と
認められることが必要となる見込みです。
例えば、持分の放棄に伴い特定の関係者が特別の利益を得る場合、
相続税の負担を不当に減少させたものとして、
納税猶予は認められないこととなるでしょう。
その他にも要件はありますが、
通常の医療法人であれば個別に判断することになるかと思われます。
雇用促進税制については、
医業収入が順調に伸びている場合や事業拡大をお考えの場合、
確実に押さえておくべき項目です。
手続き上の関係で早いうちからの準備が必要となりますので、
翌期以降の経営計画も考えておかなければなりません。
人員の増加が考えられる医院は、常にこの制度の存在を意識しておきましょう。
要望事項に載っている項目がすべて改正されるとは限りませんが、
税制改正をうまく利用するためには早めに対策を講じておくことが必要です。
平成24年税制改正でも、大綱が発表されてから法案可決まで
時間がかかることが予想されますが、いざ法案が可決してから慌てることの無いよう、
顧問税理士先生などから最新の情報を収集していくことをオススメします。
TOMAの医療特化部門はこちら → http://www.toma.co.jp/hospital/interview.php
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