平成23年度の税制改正は、震災の影響やねじれ国会により、予定されていた法人税率の軽減や給与所得控除の上限設定など、多くの内容が見送りとなりました。ただし、そんな中でも医療機関に影響がある改正がいくつかあります。その一部を今回はご紹介します。
【医療用機器等の特別償却の見直し】
医療用機器等の特別償却制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を平成25年3月31日まで延長することとする。 医療用機器に係る措置について、次のとおり見直しを行う。イ 高度な医療の提供に資する医療用機器又は先進的な医療用機器に係る償却割合を100分の12(現行100分の14)に、医療の安全の確保に資する医療用機器に係る償却割合を100分の16(現行100分の20)にそれぞれ引き下げる。ロ 対象となる医療用機器から新型インフルエンザに係る医療の提供を目的とする病床の確保に資する医療用機器を除外する。 特定増改築施設に係る措置及び建替え病院用等建物に係る措置を除外する。
解説
特別償却とは、通常の減価償却に加えて一定の率に応じた金額を上乗せして減価償却できるという制度です。適用期限切れとなり、つなぎ法案により6/30まで延長されていた医療用機器等の特別償却ですが、平成25年3月31日まで延長措置が取られました。しかし、償却率の引き下げや一部対象機器の除外などにより、特別償却の適用範囲が狭くなっているので注意が必要です。
【雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度の創設】
青色申告書を提出する事業者で当期及び前期において離職者がいないことにつき証明がされたものが、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち、基準雇用者数が5人以上(中小企業者等については、2人以上)及び基準雇用者割合が100分の10以上であることにつき証明がされ、かつ、給与等支給額が比較給与等支給額以上である事業年度において一定の事業を行っている場合には、20万円に基準雇用者数を乗じて計算した金額の特別税額控除ができることとする。ただし、当期の税額の100分の10(中小企業者等については、100分の20)相当額を限度とする。
解説
上記の内容だとちょっとわかりづらいですが、前年末から当年末にかけて増加した従業員数に応じて、1人あたり20万円の税額控除ができるという制度です。具体的には次の通りです。
具体例
前年度末従業員数 6名 当年度末従業員数 8名
(8名-6名)×20万円=40万円の税額控除
上記のように、税制改正は医療機関の経営に少なからず影響を与えることとなります。よって、最新の情報を入手して、医療機関の経営に少しでも役立てるようにして下さい。
なお、税制改正で不明な点等がございましたら、藤間公認会計士税理士事務所までお気軽にご相談下さい。医業に特化した専門家が適切なアドバイスをさせて頂きます。
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