最高裁はこのほど出資に関する定款の解釈について、下記のような重要な判断を下しました。
この裁判は、医療法人の出資金返還請求権を相続した上告人と医療法人である被上告人とで争われていた出資金の返還請求をめぐる事件です。
最高裁は、「退社した社員は出資額に応じて返還を請求できる」という旨の定款の規定は、退社時の法人財産の評価額に出資割合を乗じた額を請求できることを規定したものと解されるとして現行の定款解釈の立場をとりました。
原審では、「出資した額を限度」としてその返還を請求することができると判断されていました。これは、医療法によって医療法人が行う剰余金の配当を禁止していることに起因するとしています。
しかし、最高裁は、この原判決を破棄差戻しとし、「退社した社員は出資額に応じて返還を請求できる」という退社時の規定は、退社時点における医療法人の財産評価額に出資割合を乗じて計算される金額の返還を請求できると規定したものと解釈するとして、原審の判決を否定しました。
つまり、出資持分を時価評価し、持分割合に応じて払戻しを受けることができるという解釈です。
この事件は、民事上の裁判ですが、これに付随して相続・贈与税の問題も発生することになります。現在、国側がこの贈与税更正処分取消請求事件について上告しているため、こちらの判決も気になるところです。
このように、医療法人をめぐる取引は、医療法、税法など法律の解釈を熟知していることが肝要です。貴法人では、いかがでしょうか。
TOMAには、医療専門チームがありますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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