平成20年12月12日に、自由民主党が税制改正大綱を出しました。今回は、この中から医療機関に特化した改正部分をご紹介します。
(1) 社会医療法人に係る不動産取得税の非課税措置の創設
社会医療法人が所有し、かつ、経営する病院及び診療所において直接救急医療等確保事業の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
解説
昨年の改正で、社会医療法人の法人税については収益事業から生じた所得のみに対して課税するという優遇制度が設けられました。今年の改正では、直接救急医療等確保事業の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税になる措置が設けられます。
これは、救急医療、へき地医療、産科・小児科医療などを守るため、都道府県の医療計画に基づき、特に地域で必要な医療の提供を担う社会医療法人について、不動産取得税の面からも支援しようという内容のものになります。
(2) 社会医療法人に係る固定資産税等の非課税措置の創設
社会医療法人が所有し、かつ、経営する病院及び診療所において直接救急医療等確保事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
解説
(1)と同様に、社会医療法人の直接救急医療等確保事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置が設けられます。
(3)医療関係者養成所に係る固定資産税等の非課税措置の追加
医療関係者養成所にかかる固定資産税、都市計画税及び不動産取得税の非課税措置について、対象に一般社団法人及び一般財団法人(非営利型法人に限る)、社会医療法人等が設置する医療関係者養成所を追加する。
解説
一般社団法人、一般財団法人(非営利型法人に限る)及び都道府県の医療計画に基づき、特に地域で必要な医療の提供を担う社会医療法人について、看護師等の養成所に係る非課税措置が設けられます。
ただし、検討事項として公益法人制度改革に対応する税制上の措置については、新制度施行後の実態を見極めつつ、必要な見直しを引き続き検討すると税制改正大綱には記述されていますので、将来的には見直しがされる可能性もあります。
(4)特別償却制度の適用期限の延長及び見直し
医療用機器等の特別償却制度について、次のとおり見直しを行ったうえ、その適用期限を2年延長する。
① 青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に、新型インフルエンザに対応するため簡易陰圧装置の取得等をした場合には、その取得価額の20%相当額の特別償却が出来る措置を加える。
② 一般の医療用機器に係る措置について、対象となる機器を高度な医療の提供に資するもの又は承認等を受けてから2年以内のものに限定する。
③ 建替え病院用等建物に係る措置について、対象となる病院用等建物の要件である医療の提供体制の整備に資するための基準を見直す。
※医療安全に資する医療機器等の導入に係る特別償却は、2年間の延長となりました。
解説
平成21年3月31日で適用期限の切れる特別償却制度の期限延長がされましたが、見直しもされました。
①は、病院において、感染症の2次感染のリスクを低減させるためには、病原菌が外に漏れないよう、気圧を低くした病室である「陰圧室」の設置が有効です。この陰圧室を簡易的に作り出す「簡易陰圧装置」について、特別償却の対象となりました。
②は、今まで500万円以上の医療用機器であれば特別償却の対象となっていたものを取得価額500万円以上の「高度な医療の提供に資するもの又は承認等を受けてから2年以内のもの」に限定してしまった改正になります。範囲が狭まったことにより、今までは特別償却の対象となっていたものも今後対象とならなくなってしまう可能性があります。
③は、基準の見直しが行われるようです。
以上、代表的なもののみご紹介しましたが、今回の内容は税制改正のごく一部になります。もっと詳しく知りたい方は、厚生労働省のホームページをご参照下さい。
詳しく知りたい方はこちらまで→厚生労働省税制改正
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