今年も残すところ、あと2ヶ月弱となりました。院長先生方におかれましてはそろそろ年末調整の準備をする時期かと思います。そこで今回は年末調整にも関係のある源泉徴収の留意点について、特にクリニック前提でお話したいと思います。
<源泉徴収とは?>
原則として所得税は、その所得者自身が自主的にその所得税を申告納付する「申告納税制度」をとっています。しかし一部の所得 = 「給与所得」「退職所得」「利子所得」「配当所得」等については「源泉徴収制度」を採用しています。
源泉所得税はスタッフに給与等を支払う院長先生 = 納税義務者 が給与等の支払金額からその所得税を差し引いて(源泉徴収)、国に納付する仕組みになっています。つまり、源泉徴収とは所得者であるスタッフに代わって、源泉徴収義務者である院長先生が税額を計算して徴収し、納付するものです。源泉徴収された税額は年末調整により正確な納税額に計算しなおし、過不足はその際に調整します。
徴収した源泉所得税は給与等を支払った月の翌月10日までに納税義務者である院長先生が国に納付する必要があります。スタッフの合計が常時10人未満の場合、税務署長に届出をし、承認を受けることにより年に2回、まとめて納付することも可能です。
<宿日直料の源泉徴収>
看護師の宿直料や日直料については次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合を除き、1回の宿日直について支給される金額のうち、4,000円までの部分については給与所得として課税されません。
(1)休日や夜間の留守番として雇用した人に支給されるもの
(2)通常の勤務時間内の勤務として行った人や代日休暇が与えられる人に支給されるもの
(3)通常の給与の額にスライドされた宿日直料
<スタッフや役員に支給する食事についての源泉徴収>
院長先生がスタッフや役員に対し支給する食事代については、食事代の50%相当額以上を食事代として徴収し、クリニックの負担額が月額3,500円以下である場合には給与所得として課税されません。
逆を言えば、徴収額が食事代の50%未満であり、かつ、クリニックの負担額が3,500円を超えるときには給与所得として課税され、源泉徴収も必要となりますのでご注意ください。
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