日本では、医師法(第19条第1項)で、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」とされています。つまり、患者さんが「診て下さい」と病院や診療所に来たら、正当な理由なく診療を拒否することが出来ないのです。
しかし、患者さんの中には治療費をまともに支払わず、そのまま踏み倒してしまうという方もいらっしゃいます。そういう患者さんだと分かっていても、診察しなければならないため、病院や診療所は回収見込みのない未収金が発生し易い環境にあるといえるでしょう。
特に未収金の多い自治体病院では、地方自治法の5年と民法の3年との解釈で揺れていた未収金の時効について、最高裁判決で3年と判断されたことにより、その回収がより一層厳しくなっていることと思います。
そんな中、四病院団体協議会の総合部会では、患者さんの未収金を保険者に請求しようという動きが出てきています。健康保険法や国民健康保険法では、「医療機関が一定の回収努力をしても回収できない場合、保険者が医療機関からの請求に基づいて患者さんから強制的に一部負担金を徴収し、医療機関に支払う」との記述があることから、未収金は保険者に支払い義務があるというのです。保険者が支払いを拒否した場合には、集団訴訟も検討しているとのことですので、未収金回収の新たな方法となり得るか、今後の動向が注目されます。
平成18年10月より、医療療養病床の食費・居住費が自己負担に切り替わるなど、今後も未収金が増える可能性は高いと言えます。医療機関にとっては、発生させてしまった未収金に対しどう対処するかも大事ですが、それ以上に未収金を発生させないような努力が必要でしょう。
未収金対策のポイントはこちらをご参照ください。
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