今回のテーマは「太陽光発電の屋根貸し賃料」です。
本年7月から、地球温暖化問題への対応、環境関連産業の育成等の観点などから「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されました。
この制度は、電力会社に発電設備から得た電気を国が定めた一定の価格(42円/KWH)で売却できる制度となっています。そこで、この制度を利用して建物の所有者が、その屋根を貸すことで賃料を得る一方、発電事業者である屋根の借り手は、建物の屋上等に太陽光発電設備を設置して、電力会社へ電気を売却することにより収益を得るという、いわゆる「屋根貸し」事業が今注目を集めいています。
ただ、この「屋根貸し」事業の採算性を考えると大規模マンションや工場等といった建物の屋根が対象となることが想定されます。150㎡程度の広さの屋根を貸した場合の年間の賃料相場は2~3万円程度と金額的には少額となります。
これらの税務上の取扱いについてまとめると、貸し手側が個人の場合の取扱いは、一般的に不動産所得となり、法人の場合についても当然収益計上することとなります。いずれについても通常の資産の賃貸借契約等と同様に契約で定められた賃料の支払日が、収入、収益、課税売上の計上時期となります。消費税については、例えば居住用マンションの建物の屋根を太陽光発電の設置のために貸し付けた場合でも、広告スペースとして屋根等を貸し付けた場合と同様にその屋根貸し賃料は、課税売上げとなります。また、借り手側についても、損金算入時期及び課税仕入れの時期については、契約で定められた賃料の支払日の属する事業年度になります。課税仕入れの用途区分については、売電収入が課税売上であるため、課税売上にのみ対応する仕入れとなります。