すっかり秋めいてきた今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
我々TOMAコンサルタンツグループは平成24年10月1日をもって、32期に突入しました。それに伴い、「決算隊」が「申告サポート課」という控えめな名前に変わりました。
今期は昨今のめまぐるしい税制改正について分かりやすく解説していきますので、よろしくお願いします。
今回のテーマは「成年後見制度と特別障害者控除」です。
このほど名古屋国税局が、成年被後見人として家庭裁判所の審判を受けた者は、所得税法上、特別障害者控除の対象者に該当するという旨の文書回答を公表しました(平成24年8月31日付回答)。
民法上の成年後見制度とは、判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為をおこない、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度です。最近は一人暮らしの高齢者が増加していることなどから、親族以外の第三者である司法書士や税理士などが成年後見人等になることもあるようです。
一方、所得税法上の障害者控除や特別障害者控除は、一定の障害者手帳等を有している者や、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」等を扶養する者、又はその本人が適用できるとされています( 所法2 ①二十八,二十九, 79 , 所令10 )。
つまり、これまでは、民法上の成年被後見人であるかどうかは、障害者控除,又は特別障害者控除を適用するうえでは関係なく、成年被後見人であっても、障害者控除等の対象者に該当するか個別に判断する必要がありました。
しかし、このほどの文書回答で、成年被後見人は、特別障害者控除の対象者と同一の文言である「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と定義されているため(民法7,8)成年被後見人であることは、同時に特別障害者控除の対象者であることが確認されました。つまり、成年被後見人であることだけをもって、特別障害者控除の対象者に該当することになる、ということです。
なお、特別障害者控除の適用を受けるものとして、確定申告書や扶養控除等申告書を提出する場合、法令上、確認書類の添付は要件ではありませんが、提出を求められた際には、法務局が発行する成年後見人の権限等が記録された登記事項証明書を提出する必要があります。