こんにちは。りょうたろうです。
今日、テナントの空室を防ぐ目的で賃料を数ヶ月間無料とする『フリーレント契約』が広く行われています。今回は、その『フリーレント契約』で建物貸付が行われた際の消費税の取り扱いについてお話したいと思います。
建物の貸付に関しましては、その貸付が居住の用に供する目的で行われているものについては“非課税売上”に該当し、居住の用に供するもの以外の目的で行われている場合には、その賃料収入は消費税法上の“課税売上”に該当します。
通常の居住の用に供するもの以外の目的で行われる貸付の場合であれば、1年間の賃料収入の全額が“課税売上”になりますが、では、契約後の最初の3ヶ月分の賃料が無料となるようなフリーレント契約を行った場合、その期間中の消費税の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
消費税の計算上では、賃料総額を契約期間で按分して課税売上高を計算する必要はなく、単純にフリーレント期間中の3ヶ月間の賃料収入は“不課税”、フリーレント期間終了後の9ヶ月間の賃料収入は“課税売上”として処理を行うのが原則的な処理となります。根拠としては、消費税は、“対価を得て行われる取引について課税される”ものであり、無償取引は原則として課税の対象にならないとされるためです。
例えば、契約内容が「中途解約不能で、仮に中途解約をした場合には、賃借人は残りの期間の賃料を支払うものとする。」という契約である場合、法人税の取り扱い上では、フリーレント期間中の賃料が、残りの期間の賃料に上乗せされているものにすぎないと言えるため、賃料総額を契約期間で按分して算出した金額を、各事業年度に収益として計上しなければならないが、消費税の取り扱い上は、契約期間等で按分する必要はありません。つまり、フリーレント期間中は賃料収入がないため“不課税売上”となり、フリーレント期間終了後における賃料収入がその課税期間の課税売上となるのが原則です。
なお、中途解約が行われた等により、賃借人から数か月分の賃料相当額の支払いを受けた場合、その賃料相当額が家賃を補填するものである場合には、“課税売上”となり、逸失利益の補償金(損害賠償金)の性格を有するものである場合には、“不課税売上”となります。
消費税は、訴訟が起こるケースが非常に多い税法です。取り扱いには十分に注意していきたいものですね。