20年度版「中小企業会計指針」を公表リース会計基準,棚卸資産会計基準に対応
(経営財務から)
日本公認会計士協会(JICPA),日本税理士会連合会,日本商工会議所及び企業会計基準委員会(ASBJ)の関係4団体は5月1日,「中小企業の会計に関する指針(平成20年度版)」を公表しました。今回の改正は,4月から適用された「リース取引に関する会計基準」や「棚卸資産の評価に関する会計基準」に対応したものです。所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)には賃貸借処理を,一定の条件の下,棚卸資産の評価には従来の原価法を認めています。
1.リース取引において賃貸借処理も認める
「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)では,所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る例外処理規定を廃止し,原則として売買処理とすることとされました。
しかし,中小企業会計指針では,中小企業の負担に配慮し,所有権移転外ファイナンス・リース取引(借手)において,「通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行なうこと」を認めました。ただし,この場合には,「未経過リース料を注記する」としています(重要性が無い場合については省略可)。
2.棚卸資産の評価基準,従来の原価法も可
「 棚卸資産の評価に関する会計基準 」(企業会計基準第9号)では,棚卸資産の評価基準に関して,従来認められていた原価法と低価法の選択適用が廃止され,時価の下落を反映させる方法に一本化されました。すなわち,通常の販売目的で保有する棚卸資産について,期末の正味売却価額が取得原価より下落している場合には,当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とします。
中小企業会計指針では,中小企業の負担に配慮し,金額的重要性が無い場合には,従来の原価法を用いることも認めました。ただし,災害による損傷や陳腐化については,その事実を反映させて帳簿価額の切下げを行います。