税制改正大綱が政府より発表され、法人税率の軽減や給与所得控除の上限設定など、医療機関にも影響がありそうな内容が盛りだくさんな改正が話題となっています。今回は、税制改正の中でも一般的な報道ではなかなか出てこない医療機関にのみ影響がある税制改正の内容をお伝えします。
【医療用機器等の特別償却の見直し】
医療用機器等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
イ 高度・先進医療の提供に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から心電図及び顕微鏡を除外し、特別償却率を12%(現行14%)に引き下げます。
ロ 医療の安全の確保に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から、生体情報モニタ連動ナースコール制御機、注射薬自動払出機、医療情報読取照合装置及び特殊寝台を除外し、特別償却率を16%(現行20%)に引き下げます。
ハ 新型インフルエンザ対策に資する医療用機器に係る措置、特定増改築施設に係る措置及び建替え病院用等建物に係る措置を除外します。
【解説】
特別償却とは、通常の減価償却に加えて一定の率に応じた金額を上乗せして減価償却できるという制度です。適用期限が迫っていた医療用機器等の特別償却ですが、2年間の延長措置が取られました。しかし、償却率の引き下げや一部対象機器の除外などにより、特別償却の適用範囲が狭くなってしまいます。
医療法人の場合、現行の制度の適用期限が平成23年3月31日とされています。対象医療機器の導入をお考えの方は、現行の制度が適用される期間内に導入してしまうというのも一つの方法だと思います。
税制改正大綱に盛り込まれていた医療機関特有の改正は、上記の特別償却ぐらいですが、来年度に向けて気になる文言が記載されていましたので、ご紹介します。
【事業税における取扱い】
事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、平成22 年度の議論を踏まえつつ、地域医療を確保するために必要な措置について、来年1年間真摯に議論し、結論を得ます。
【解説】
医療機関は事業税の計算で優遇措置が取られていますが、この優遇措置については毎年、改正がされるのではないかと言われてきておりました。今回は改正とはなりませんでしたが、来年度に向けて改正が行われる可能性を残した内容が盛り込まれています。よって、来年度の税制改正までの議論にも注意する必要がありす。
上記のように、税制改正は医療機関の経営に少なからず影響を与えることとなります。よって、最新の情報を入手して、医療機関の経営に少しでも役立てるようにして下さい。
なお、税制改正で不明な点等がございましたら、藤間公認会計士税理士事務所までお気軽にご相談下さい。医業に特化した専門家が適切なアドバイスをさせて頂きます。
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