昨年末に民主党初の税制改正が発表されました。今回は、その中から医療機関に今後影響を与えそうな部分についてご紹介します。
(1)特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置の見直し
特殊支配同族会社がその業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち給与所得控除相当部分を法人段階において損金不算入とする措置があります。この制度は今回の改正により、平成22年度から廃止されることになりました。特殊支配同族会社に該当する法人の場合、この適用を受けて法人税の負担が多くなっておりましたが、医療法人は会社ではないのでこの規定は適用されませんでした。
廃止になっても医療法人には影響がないのではないかと思われますが、この制度を廃止する代わりに平成23年度の税制改正で給与所得控除の見直しが行われる可能性があります。給与所得控除を見直し、控除額が縮減された場合には結果として医療法人の理事長などに影響を与えることとなります。
(2)グループ法人単体課税制度
グループ内(100%資本関係のある国内会社間)の取引等について、含み損益を実現せずに円滑に資産移転ができるようにする等、グループ経営の実態を踏まえ、中立的な税制を整備することとされました。例えば、含み損のある資産をグループ会社間等で売却して売却損を計上したとしても、それはなかったものと考えて申告をする制度になります。今までは、含み損のある資産について一旦売却することにより、法人税の負担軽減が可能でしたが、平成22年10月1日以後はグループ間の取引等についてはその売却損は損金に算入されません。この規定は、(1)のように会社限定とはされていませんので、医療法人にも適用されることとなりそうです。
この制度は、今後大きな影響を与えることになりそうですので、また新たな情報が入りましたらお伝えして行きたいと思います。
民主党初の税制改正は、医療機関への直接的な影響は少ないものとなりましたが、平成23年度の税制改正で大幅に影響を与える可能性を残した改正となりました。今年の夏の参議院選挙を踏まえ、今後の税制の動向を注意しましょう。
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