平成25年1月25日に自民党と公明党により平成25年税制改正大綱が発表されましたが、今回のブログは平成23年度税制改正において改正された「税務調査手続の明確化」について紹介します。
ご存知の通り平成23年度の税制改正は、民主党政権のもとで行われ納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を基本柱として行われました。
そこで納税環境の整備の一環として「納税者権利憲章の策定」を掲げ、各種税務手続規程の集約をしました。
上記の改正を受け平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する税務調査については次に紹介する手続き規定が適用されることになりました。
(1) 事前通知(改正ポイント)
(2) 身分証明書の提示
(3) 質問事項への回答と帳簿書類の提示又は提出(改正ポイント)
(4) 帳簿書類の預りと返還(改正ポイント)
(5) 取引先等への調査
(6) 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨(改正ポイント)
(7) 更正又は決定(改正ポイント)
(8) 処分理由の記載(改正ポイント)
(9) 更正又は決定をすべきと認められない場合の通知(改正ポイント)
(10)再調査(改正ポイント)
ここから改正ポイントを中心に解説していきます。
(1) 事前通知
税務調査に際しては、原則的に、納税者と税務代理を委任された税理士に対して次のことを事前に通知します。
調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間
事前に通知を受け取った納税者と税理士は合理的な理由がある場合には、調査日時の変更の協議を求めることができます。
ただし、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、又は調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる場合には、事前に通知をせず税務調査を行うことができるとされています。
会社の業務が多忙である等十分な税務調査対応ができない場合等は、調査日時の変更を求めるとよいでしょう。
(2) 身分証明書の提示等についての解説は省略します。
(3) 質問事項への回答と帳簿書類の提示又は提出
法律上、税務調査官が税務調査を行う際に質問検査権の行使の一環として会社の帳簿書類などの提示又は提出を求めることができることが明確化されています。
なお、税務調査官の質問に対して偽りの回答をしたり検査を拒否した場合、又は正当な理由なく帳簿書類の提示若しくは提出を拒否した場合、あるいは偽りの記載をした帳簿書類の提示若しくは提出をした場合については、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金の罰則が定められています。
(4) 帳簿書類の預りと返還
以前は、税務調査官が納税者から提示された帳簿書類などについて「預り証」を発行せずに預る場合がありましたが、今後は「預り証」の発行が徹底されることになりました。
これに伴い、帳簿書類などを返却してもらう際には交付された「預り証」と交換し、帳簿書類などを受領した旨の署名と押印をすることになりましたので、もし、税務調査において帳簿書類等を税務調査官に預けた場合には「預り証」の発行を受けるとともにその「預り証」を紛失しないようにしましょう。
少し長くなりましたので(5)(6)(7)(8)(9)(10)については、またの機会にしたいと思います。