東北地方太平洋沖地震におきまして、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに被害にあわれた皆様、ご家族の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。
さて今回は、22年度の確定申告の中で、ちょっとうっかり間違ってしまいそうだった事例をご紹介します。
Aさんは古いアパートを1棟所有していましたが、老朽化が進み22年中に新しく建替えをしました。22年は建替え工事があったため、不動産収入は減少。しかし費用の方は古いアパートの取り壊し費用、その他諸々の費用がかかり、不動産所得は赤字となりました。もちろん、古いアパートの未償却残高である資産損失もありました。Aさんはこの不動産所得の赤字を給与所得と損益通算し、還付を受けることにしました。
しかしここでちょっと気をつけなければいけないことは、Aさんはアパート1棟4部屋を貸しているだけでしたので、Aさんの不動産賃貸業の規模は、事業的規模の不動産貸付ではなく、業務的規模の不動産貸付となります。そうすると、古いアパートの未償却残高の資産損失は所得税法第51条4項の資産損失となり、この資産損失を控除する前の不動産所得を限度としてしか必要経費に算入されないことになるのです。取り壊し費用の方は所得税法37条で定める必要経費で規模に関係なく全額経費に算入することができますが・・・。
したがって、まず、取り壊し費用を不動産所得の計算上必要経費に算入し、その結果不動産所得の金額が黒字となる場合には、その所得金額を限度として古いアパートの資産損失額を必要経費に算入することになるのですが、残念ながらAさんは取り壊し費用を入れた段階ですでに不動産所得の金額は赤字となっていました。
不動産賃貸業の規模が事業的規模か否かにより、資産損失の取り扱いが異なります。ちょっと注意が必要ですね。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 新垣
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