7月13日に年金型生命保険『二重課税』の最高裁判決速報をこのブログでお伝えいたしましたが、今回はもう少し詳しく、またその影響についてお話したいと思います。
<違法とされた所得税課税とは?>
死亡保険金のうち一時金で受け取るものは相続税の課税対象とされ、所得税は課されず二重課税の問題はありません。一方年金で受け取るものは、一定割合(今回の裁判で争われたケースでは60%)が相続税の課税対象とされ、さらに毎年年金を受給するときに所得税が課されます。この毎年受け取る年金に対して課される所得税に関し、最高裁は1年目の年金に課された所得税を『違法な二重課税』と判定しました。その根拠として、「少なくとも1年目の年金は全額元本で、運用益部分がないため、所得税は課税できない」と説明したのです。しかし、最高裁は2~10年目分(今回ケースでは10年間に総額2,300万円を年金で受け取る権利を相続)については判断を示しておらず、2年目以降に受け取る年金については相続後に発生する運用益が含まれるため、運用益部分については所得税が課される可能性は十分にあります。国税庁も「判決に基づき、所得税の課税対象とならない部分の算定方法などの検討を進めている」としており、今後は具体的にどの商品が還付の対象になるのか、判断基準、算定方法、手続等、当局の動向に注意が必要です。
<住民税・国民健康保険料にも影響?>
所得税が還付されることになると、住民税も還付される可能性が高くなります。住民税など地方税は「所得税法で認定した所得に対して課税するのが大原則」とされているので、年金で受け取った保険金が所得税の課税対象外となれば、当然住民税も課税対象外となるはずです。
そして住民税が変わると今度は国民健康保険料、介護保険料などにも影響がでてきます。また、介護サービスや医療を受ける際の負担上限額も、住民税が課税世帯か非課税世帯かで自己負担の上限額が変わってきます。
今回の判決で影響がかなり広範囲に広がることは必至ですが、ちょうど22年の税制改正で個人年金保険・生命保険契約による定期金の権利評価(相続税法24条)について、見直しが行なわれ、一部時価評価が採用されています。年金型生命保険の二重課税は認められても、定期金の評価は厳しくなったことで相続税負担は重くなり、何だか「行って来い」って感じがするのは私だけでしょうか・・・?
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 新垣
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