平成22年度の税制改正で、消費税の一般課税や簡易課税制度等の使い分けを行なうことによって、消費税の不適切還付を受ける、いわゆる自販機スキーム等を封じる消費税法改正が行なわれました。
≪改正前の消費税法上の取り扱い≫
中小の新規事業者(資本金1,000万円未満)や基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者が、設備投資を行なったことにより負担した消費税額の一部の還付を受けるため、あえて課税事業者を選択するケースは少なくありません。消費税法上、課税事業者を選択した場合には、2年間免税事業者に戻ることはできないとされています。また、簡易課税制度を選択した場合も、適用から2年間、一般課税により申告を行なうことや免税事業者にもどることはできません。
その一方で、原則の課税方式である一般課税については、継続しなければならない規定はありませんでした。つまり、当期に一般課税で仕入税額控除を行い、翌期に簡易課税制度による申告を行なうことも可能でした。そのため、実務では、一般課税の時に仕入税額控除を行ない多額の還付を受けた後、課税方式を簡易課税制度等に変更することにより課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産(調整対象固定資産とは、建物、構築物、機械その他棚卸資産以外の資産で、消費税等に相当する金額を除いた金額が100万円以上のもの)に関する仕入れに係る消費税額の調整の適用を免れるケースが多く見られました。
≪改正後の内容≫
これを防ぐため平成22年4月1日以後に課税事業者を選択した事業者で、かつ、平成22年4月1日以後開始した課税期間から、課税事業者の選択等が強制されている期間中(原則として2年間)に100万円以上の調整対象固定資産を購入し、一般課税で仕入税額控除を行った場合には、その固定資産を購入した課税期間から3年間、簡易課税制度による申告や免税事業者に戻ることができなくなりました。その結果、一般課税が強制される1期目と3期目の課税売上割合を比較して50%以上変動している場合には、消費税の調整をしなければいけないことになり、実質的にこれまでの自販機スキームのような極端な消費税の還付のスキームは使えないこととなりました。
問合せ先:0120-944-733
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