新たに医療法人を設立する場合には、「持分なし」の形態しか認められなくなったことはもうご存知のことだと思います。
「持分なし」の形態の場合、法人設立のために拠出したものがあったとしても、原則として解散した場合の残余財産は国等に帰属することになります。
「持分なしの基金拠出型」と「持分ありの経過措置型」の社団を比較してみましょう。
1、 基金拠出型
基金とは、社団医療法人で持分の定めのないものに拠出された金銭その他の財産で、医療法人が拠出者に対して、定款で定めるところに従い返還義務を負うものをいいます。基金は劣後債(一番最後に返済される借金)であり、財産権はありません。
(財産権は、退社時の持分払戻請求権と解散時の残余財産分配請求権をいいます。)
2、 出資持分ありの社団医療法人(経過措置型)
持分ありとは、財産権があるということになります。持分は、時価評価します。
【基金拠出型医療法人設立のメリット】
相続税対策
基金は持分ではなく劣後債のため、出資持分ありの法人のように持分評価の問題が生じません。持分ありの法人形態では、相続が発生した場合、出資持分は相続税法上の評価を行い、相続税の課税対象となります。ここで問題となるのが、持分ありの医療法人は医療法上の配当禁止規定があるため、この出資持分評価が高額になる可能性があるという点です。このようなケースでは、相続が発生しますと、相続人に相続税の負担が重くのしかかってきてしまいます。
しかし、基金拠出型は出資持分がそもそもありませんので、相続税対策に有効といわれております。
例えば、1,000万円の出資をし、院長が一生懸命経営努力をした結果、持分の評価が10倍の1億円になったとします。持分ありの医療法人では、1億円が相続税の課税対象となってしまいます。しかし、基金拠出型の場合、基金は債権に該当しますので、拠出した基金の価額と相続開始日現在の返還されるべき金額のいずれか低い金額が相続税評価額になりますので、このケースの場合、評価は1,000万円になると考えられます。
医療法人設立について、このほかにもメリットは多くあります。もちろん、デメリットもありますが、基金拠出型の医療法人の設立を一度考えてみてはいかがでしょうか。
TOMAでは、初回無料相談がございます。どうぞ、お気軽にご連絡ください。
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