先日、資産家のMさんが奥様と相談に来られました。
Mさん)秋子先生、平成25年の税制改正で子供だけでなく孫への
贈与についても2,500万円まで税金がかからなくなるという
話を聞きました。もしそうなら、孫へ贈与をしたいと考えている
のですが、どうすれば効果的でしょうか。
秋 子)相続時精算課税のことですね。税金がかからなくなるのではなく
父母から贈与を受けた場合に受贈者は「暦年課税」か
「相続時精算課税」かを選択して贈与税の申告をします。
精算課税を選択した場合は、贈与額合計額から特別控除額の
2,500万円を差し引き2,500万円超の部分に対して20%の贈与税が
課せられます。その制度に改正があり、平成27年1月1日以後からは
満60歳以上の父母又は祖父母から、満20歳以上の直系卑属(子や孫)
に対する贈与について、精算課税が選択できるようになります。
Mさん)2,500万円を差し引けるのであれば、2,500万円までは無税
ということになりませんか?
秋 子)贈与の時点ではかかりませんが、精算課税を選択した場合、
贈与者に相続が発生した時にはその受贈財産と相続財産とを合計して
相続税を計算します。そのかわり、すでに支払った贈与税は相続税額から
控除でき、相続税よりも支払った贈与税が多ければ還付が受けられます。
つまり、贈与について精算課税を選択した場合は相続財産が減少する
わけではなく相続のときに贈与したときの価格で贈与税と相続税の精算
がされるのです。
Mさん)では、相続対策にはならないのですか?
秋 子)贈与を受けた財産から利益を受けられる賃貸物件や将来、財産価値の上昇が
見込まれる財産などの贈与であれば、相続対策になります。
お孫さんへの贈与に対して精算課税を行うときはさらに注意が必要で
お孫さんは普通なら相続人ではないので祖父母から贈与があったとしても、贈与税の
申告のみで相続税の申告の対象にはなりませんが、精算課税を選択していた場合、
精算課税の適用を受けた財産は相続財産とみなされて相続税が課税されます。
Mさん)えっ 孫も相続税を払うことになるんですか。
秋 子)そうです。しかも孫は1親等内の血族ではありませんので相続税が2割加算されます。
孫に2,500万円を贈与した場合、相続が発生した時、30%の税率だとして、
相続人ならば、2,500万円×30%=750万円で済むところ、
2,500万円×30%×1.2=900万円相続税を支払うことになります。
Mさん)2割加算があるなんて知りませんでした。孫への贈与については、またよく考えてから
ご相談に伺います。
贈与については、様々な方法が考えられるので状況と制度を正しく把握し、いろいろなシミュレーション
を行った上で実行することが大切です。
http://www.toma.co.jp/seminar/
問い合わせ先:0120-944-733
事業財産承継部:植田
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