中小企業の社長様から相談を受けました。
社長 前社長であった父の相続のときに、当社の同族株式を受け取ったんですけどね。
もともと100%同族だし、このまま株式を持っていても株価は上がり、私の相続
財産が増えるだけだから一部を会社へ売ってしましたいんだよね。
秋子 そうですか。経営もうまくいってますし、更に御社の株価は上がっていきそうで
すしね。社長の相続対策としても、株式を会社へ売ってしまうのも良いかと思い
ます。因みに、お父様の相続が発生してからどのくらい経ちましたか?
社長 相続が発生してから1年半位かな。
秋子 そうですか。株式の時価は高くなっていますが、時価で譲渡し譲渡益が出たとし
ても「相続等により取得した非上場株式に係るみなし配当課税の特例」が使えま
すね。
社長 へえ、それはどんな制度?
秋子 相続等により非上場株式を取得した者、取得したとみなされる者(注1)が、その
相続税の申告期限の翌日以後3年以内にその株式を発行会社に譲渡した場合はみ
なし配当課税を行わず株式譲渡益として課税が行われるのですよ。
社長 どういうこと?私にとって得なの?
秋子 譲渡代金が資本金等の金額のその株式に対応する部分を超えた金額(注2)がみ
なし配当になります。社長の場合、所得税住民税が最高税率の50%です。みな
し配当課税ですと50%の税金がかかりますが、特例の要件に当てはまれば、分離
課税の20%で計算して良いことになっています。(注3)
社長 なるほど。それでは特例が使えるうちに譲渡してしまった方がいいね。
秋子 そうですね。いずれ発行会社に譲渡するおつもりでしたら、相続税の申告期限の
翌日以後3年以内がいいですね。しかもこの期間に譲渡すれば、譲渡所得を計算
する際、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例も適用できるんですよ。
社長 取得費加算ってどういうものなの?
秋子 相続のあった日の翌日から、その相続についての申告書の提出期限の翌日以降3
年を経過する日までにその相続、遺贈または死因贈与によって取得した財産を譲
渡した場合には、相続税の一部を譲渡資産の取得費に加算して譲渡所得を計算で
きるんです。
社長 そうなんですか。早速、株式譲渡のコンサルをお願いします。
秋子 かしこまりました。
(注1)平成25年度税制改正により、「相続又は遺贈により非上場株式を取得した者」
に新たに「相続又は遺贈により非上場株式を取得したとみなされる者」が追加に
なりました。(平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により非上場株を取得したと
みなされる個人について適用。)
(注2)譲渡対価が、自己株式取得を行う法人の取得直前の資本金等の額を自己株式取
得を行う法人の取得直前の発行済株式総数で除し、譲渡する株数を掛けた金額を
超えた部分。
(注3)他に復興特別所得税が課されます。また、配当控除は考慮しておりません。
平成27年より、総合課税の最高税率は55%になります。
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