先日、Mさんが「兄の相続について教えてほしい」とご相談に見えました。
Mさん) 私達は3人兄弟だったのですが、先月一番上の兄が亡くなりました。兄は生涯独身で、父はだいぶ前に他界しているので、相続人は母のみです。母は95歳ですが意識も判断もしっかりしています。母は「自分も老い先短い。無駄に財産を持っていてもいいこともない。自分が息子の財産を相続したのでは、自分が亡くなった時に子供達に高い税金がかかるのではないか。それを聞いてきて欲しい」と私に頼んだのです。
秋子) 亡くなられたお兄様、それとお母様の財産はいくらくらいなのですか?
Mさん) 兄の遺産は5,000万円くらいで母は亡くなった父から相続した土地や預貯金で約4,000万円くらいの財産があると思います。
秋子) そうですね。今回のお兄様の相続では遺産総額が基礎控除以下なので、相続税は発生しませんが、お兄様の遺産をお母様が相続した場合はお母様の財産は約9,000万円になります。相続税は一定の額以上の財産を保有している方に対して課税されるので、お兄様の財産とお母様の財産を合計するとお母様が心配されるように、将来、相続税が発生する金額になってしまいます。
Mさん) 秋子先生、何か良い方法はないでしょうか?
秋子) それでしたら、相続放棄という方法があります。
Mさん) 相続放棄?
秋子) はい。お母様に家庭裁判所で相続放棄の手続きをしていただくことで被相続人の兄弟である、MさんとMさんの弟さんが相続人になります。そうすれば、今回のお兄様の相続でも相続税はかかりませんし、さらに将来お母様に相続がおこったとしても相続税は発生しません。
その後、Mさんのお母様は家庭裁判所で相続放棄の手続きをとられました。Mさんのお母様は今回の相続だけではなく後に起こるであろう自分の相続の時に残された家族にいらぬ負担をさせないように考えたわけです。95歳の元気なお母様の判断によってM家の財産は無駄な負担なく次世代へと相続されていくことになりました。
問い合わせ先 0120-944-733
事業財産承継部:植田
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