同族会社において、自社株式の問題というのは非常に悩ましい問題です。当然のことですが、株主は会社の所有者であるとともに、最高意思決定権者でもあります。会社経営という観点からは、支配権を分散させることなく、後継者に株式を集約していくべきだと思われます。ただし、親族間の財産の公平な分配という観点からは、経営に関与する者・経営に関与しない者を区別することなく株式を与えてやりたいというのは親心として理解できるところでもあります。
ただ、その場合は会社の支配権が分散してしまうという問題の他に、経営に関与しない株主の方まで多額の相続税が課税される可能性があるという問題があります。
ご存知だと思われますが、同族会社の株式の評価方法には、「原則的評価方法」と「配当還元方法」の2つの評価方法があります。
原則的評価方法が適用される株主は、いわゆる会社を支配しているグループに属する株主で、他方、配当還元方法が適用される株主は、いわゆる配当のみを受ける権利を有しているにすぎない少数株主グループに属する株主をいいます。ただし、会社を支配している株主グループに属する株主でも一定の要件を満たすときは、配当還元方法を適用することが出来ます。それは、下記の3つの要件の全てを満たす場合となってきます。
・ その株主が役員でないこと
・ その株主が単独で『議決権』の5%以上を保有しないこと
・ その株主が中心的な同族株主に該当しないこと(その株主を中心として一定の範囲の親族で『議決権』の25%以上を保有しないこと)
つまり、同族株主グループに属する株主であっても、役員に該当せず、かつ、保有する全ての株式が無議決権株式であれば、その株主の保有する株式は配当還元方法により評価された株価となり、過度な相続税負担を強いることがありません。
経営に関与しない親族株主がいる、ただし、株式はグループの財産として保有させておきたい。
そういったお話は良くお聞きします。
そのような場合には、株式の議決権を抑制する代わりに配当を優先して行う、いわゆる「無議決権配当優先株式」に変換することを検討されてはいかがでしょうか。
弊社では、そのようなご相談をたくさん頂戴し、会社の実情に応じた種類株式をオーダーメイドさせて頂いております。些細なことでも結構ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 清水
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