前回お話しましたミニ公開買付は全ての株主に対して会社が自己株式として買取る旨をお伝えするものでした。
今回ご紹介する「特定株主からの自己株式の取得」は読んで字のごとく、特定の株主の株式を会社が自己株式として買付ける手法です。ただし、特定の株主が所有する株式を高額な価額で買取ることにより株主間の平等が保たれないことのないように、この制度を適用する場合は、他の株主に対しても会社に株式を売却する権利がある旨を通知する義務があります。
具体的な手続は下記によります。
1. 株式取得の決議をする株主総会の2週間前までに、特定株主から自己株式を取得する旨及び売主追加請求権がある旨を売主となっていない株主に対して通知しなければなりません。
2. 売却を希望する株主は、特定の株主から自己株式を取得する議案について、自己を加えた議案とすることを株主総会の5日前までに提出しなければなりません。
3. 株主総会の特別決議により、特定の株主から自己株式を取得することについて決議しなければなりません。
前回お話したミニ公開買付も同じことが言えるのですが、この制度は会社が株式を自己株式として買付けるため、発行済株式数が減少します。その為、創業者一族が保有する株式の価値が相対的に上昇し、相続対策という観点からは必ずしも発行法人による自己株式の取得は有効とはいえません。
よって、会社が自己株式として取得した株式を従業員持株会に放出するなどの対策が必要です。
ミニ公開買付や特定株主からの自己株式の取得の実効に際しては、株価や他の株主への影響、買取財源の問題など事前に確認すべき事項が多々ありますので、ご検討されている方は事前にご相談下さい。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 清水
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