こんにちは!記録的な猛暑も落ち着き過ごしやすい季節になりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、つい先日日本振興銀行が債務超過に陥り、いわゆる「ペイオフ」を初めて発動したニュースが記憶に新しいことと思います。
ペイオフでは預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息の合計額については,預金保険制度により保護されることになっており、一方1,000万を超える部分については、同行の財産の状況に応じ,民事再生手続の下で作成される再生計画に従って弁済が行われ、場合によって全額保護はされないケースもあります。
そこで生じてきたのが、1,000万円を超える預金をしている場合に、保護されなかった金額について,「損失」として税制上の手当を受けることが可能であるのか?という問題です。
具体的には損失として認められるかどうかというところですが、それについては次の2つのケースで考えていきましょう。
<税務上の損失その1 雑損控除>
雑損控除は、災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には一定の金額の所得控除を受けることができるものですが、損害の原因は限定列挙されています。
雑損控除を受けられる損害の原因は、
① 震災・風水害・冷害・雪害・落雷など自然現象の異変による災害
② 火災・火薬類の爆発など人為による異常な災害
③ 害虫などの生物による異常な災害
④ 盗難
⑤ 横領
に限られており、ペイオフについては詐欺や恐喝の場合と同様に雑損控除は受けられない可能性が大きいでしょう。
<税務上の損失その2 資産損失による必要経費>
資産損失の必要経費算入は、所得税法51条に規定されていますが、定期預金のように利子所得の基因となる所得については規定されていないことから、必要経費として認められる「損失の生じた事由」には該当しないと考えられます。
以上を振り返ると、結論としては定期預金については税務上の救済措置の適用は残念ながら難しいでしょう。
しかし、今回はペイオフが発動された初めてのケースであり、定期預金ではない他の預金等については別の考え方があてはめられることも考えられます。
今後の動向に引き続き注意していきましょう!
お問い合わせ先:0120‐944‐733
事業財産承継部 浅原
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