早いもので、今年も12月に入りました。
税制上、年末の一大イベントは税制改正大綱(いわゆる税制の改正案のことです)の公表になります。公表後、各新聞紙上にも掲載されますので、ぜひご確認していただければと思います。
昨年は12月12日に平成21年度税制改正大綱が公表されました。
昨年末は「相続税の抜本的な大改正がありそうだ」とかなり騒がれておりましたが、結局見送られ、事業承継面での税制改正の目玉は、「非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」の創設のみになってしまいました。
この「非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」の基となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が平成20年10月1日に施行されてから、今年9月末で丸1年を迎えました。
非上場株式等に係る納税猶予制度の実務上の原則的な手続きの流れは、以下のようになります。
(1)相続税
経済産業大臣の確認 → 相続開始 → 経済産業大臣の認定 → 相続税申告書の提出
(2)贈与税
経済産業大臣の確認 → 贈与 → 経済産業大臣の認定 → 贈与税申告書の提出
上記からわかるように、相続税・贈与税の納税猶予制度の適用は、原則としてまず「経済産業大臣の確認」をすることが入口になります。
平成20年10月1日から平成21年9月30日までの1年間における経済産業大臣の確認件数は計67件であるとのことです。平成21年10月分については全国で48件の確認申請があり、このうち32件の確認を終えているとのことですから、全体の確認件数はこれで計99件となり100件まで目前に迫ってきました。(税務通信3090号より)
さて、この確認件数を、多いとみるか少ないとみるかは意見が分かれることとと思います。私の意見としては、今の事業承継税制のニーズからすると確認件数が少ないのではないかと思っております。やはりその原因は、使い勝手の悪さからでしょうか・・・・?
私自身、実際に現場に出て納税猶予制度の説明をすると、適用要件が厳しいことなどから当面は見合わせるケースも多いように見受けます。
事業承継後の事業継続要件(雇用の8割以上を維持など)もあり、後継者の方が事業を引き継ぐことを腹に決めるまでは、なかなか実行に移すことが難しいというのが実態のようです。
また、実際に相続税の納税猶予金額を計算してみると、相続財産の大きさによっては思ったほど効果が大きくならない場合もあり、当面は適用を見合わせるというケースもあるようです。
企業にとって一番大切なことは事業を続けることになります。今後、適用要件等が緩和されて、誰もが適用したくなるような中小企業にとって使い勝手のよい制度になることを願うばかりです。
問い合わせ先:0120-944-733
事業財産承継部 樋口
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