個人がアパート経営を始めた当初は、登記費用や不動産取得税さらに減価償却などの影響から不動産所得が損失になりやすく、他の所得(例えば給与所得等)があれば、黒字と赤字が通算(損益通算)されて所得税等が安くなる場合があります。
ただし、不動産所得の赤字のうち土地等を取得するために借入を行った利子の額に相当する部分の金額は、損益通算を行うことができません。不動産所得による赤字を他の所得と通算するためには、不動産購入時等から対策が必要です。
1. 土地等を取得するために借入を行った利子の額に相当する部分の金額の損失切捨ては、物件ごとに判断せず、所有不動産全体で判断することになります。そのため、ひとつの物件で土地の取得に係る借入の利息による損失が出ている場合でも、他の物件の所得とあわせることにより、損失切捨てを防ぐことを検討します。
2. 支払った利息の切捨てをされないように①家賃収入のアップ②経費の削減(減価償却方法の変更・管理料等の引き下げ・借入利率の交渉)を検討します。
3. 経営努力しても損失が埋まらないような場合は、①同族法人等への不動産売却②建物比率の高い不動産へ買い換えなどにより不動産所得の損失の切捨てを防止します。
4. 同族会社等の実行税率より個人の実行税率が高い場合などは、土地のみを法人に売却し、法人に対して売却した土地の部分について地代を支払うことを検討します。地代に係る損失は、借入の利息とは異なり他の所得との損益通算が認められているため、損失を切り捨てる必要がなくなります。
なお、建物を取得するために借入を行った利子の額に相当する部分の金額はこの制限を受けない。そのため、特に遊休地に金融機関等からの借入によりアパート建築をすることは一切の制限も受けないため所得税等の対策として有効な手段となります。
問い合わせ先 0120-944-733
事業財産承継部:澤村
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