平成21年の税制改正において、相続税の納税猶予の特例が創設されたことは皆さんご存知のことと思いますが、では具体的にこの制度を活用するにはどのような手続きが必要で、まず何から始めればよいのでしょうか。
その手続きの第一歩について今回ご説明いたします。
1. 手続きは2つのステップから
相続税の納税猶予制度を活用するためには、「経営承継円滑化法」に定められている経済産業大臣の認定受ける必要があります。この経済産業大臣の認定を受けるには、原則として相続開始前に経済産業大臣の確認を受ける必要があります。
つまり相続開始前に経済産業大臣の確認申請、相続時に認定申請という手順で手続きをすることになります。
2. 相続開始前に確認申請
経済産業大臣の確認段階では、後継者を決め具体的な計画的事業承継の取組みがあることが求められます。確認手続きを進めることで、同時に事業承継に必要な準備をスタートすることになるでしょう。もちろん、取組みについて以外にも、会社、経営者、後継者のそれぞれに確認要件があります。主な事項は下記のとおりです。
<会社について>
・ 上場会社ではないこと
・ 風俗営業会社ではないこと
<後継者について>
・ 特定後継者がいること
・ その特定後継者が親族であること
・ 特定後継者が死亡した場合に、新たに特定後継者となる見込みのある人がいること
<経営者について>
(現役の場合)
・ 経営者とその同族関係者の持株が総議決権数の50%を越えていること
・ 経営者が同族関係者内で筆頭株主であること(特定後継者を除く)
(退任済の場合)
・ 退任時点と申請時点で、経営者(前代表者)とその同族関係者の持株が総議決権数の50%を越えていること
・ 退任時点と申請時点で、経営者(前代表者)が同族関係者内で筆頭株主であること(特定後継者を除く)
3. 確認手続きを省略できるケース
経済産業大臣への確認申請は、認定を受けるための要件となっているわけですが、例外的に不要となるケースもあります。
計画的事業承継の取組みが難しい場合や計画的な取組みがあったとされる場合は、例外的に確認申請を省略して、相続時の認定を受けてこの猶予制度を活用することができます。
具体的には以下のいずれかのケースです。
① 経営者が60歳未満で死亡した場合
② 後継者が役員であり、後継者が経営者の死亡直前においてすでに50%を越える自社株式を保有している場合
③ 後継者が役員であり、相続時点で後継者が所有している自社株式と経営者から公正証書遺言によって取得した自社株式の合計議決権数が発行済議決権数の50%を超える場合
④ 平成20年10月1日から平成22年3月31日の間に発生した相続の場合
この場合は以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
・ 後継者が経営者死亡の日前に役員に就任していたこと
・ 後継者が経営者死亡の日前に自社株式や事業用資産等の贈与を受けていたこと
・ その他実質的に計画的承継の取組みがあったこと
なにはともあれ、この制度を活用するには計画的な事業承継の取組みが必要なのです。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 新垣
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