取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予には次のような注意点があります。
適用要件を満たさなかった場合
適用要件を満たさず、納税猶予が認められなかった場合、事業承継者のみならず、他の相続人の相続税についても修正申告と追加納税が必要となります。ただし、相続税の課税方式が「遺産取得課税方式」に変更になる見通しです。その場合は、他の相続人への影響を与えない可能性もあります。
他の特例制度との重複適用の是非
小規模宅地の評価減など、他の特例との重複適用が認められるかどうかも現時点では不明です。
相続税と贈与税の負担格差の問題
「事業承継税制」は相続による株式異動に係る特例であり、生前贈与については対象外となります。従って、相続と贈与では税負担に大きな差が生じてしまいます。事業承継税制を利用して、異動させたほうが税負担は低くなります。ただし、農地の納税猶予と同様に贈与についても適用される可能性もあります。
このように、全ての非上場株式に事業承継税制が適用できるわけではありませんので、今後も改正の動向に注意を払う必要があります。株式評価が8割減になるため、「事業承継対策は不要」と考えるのは早計です。税制改正法案が成立する来年3月までは改正を見ながら、現行税制に基づく対策検討を行うことが大切です。
問い合わせ先 事業財産承継部:大町 0120-944-733
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